一般人口におけるうつ病の心理社会的な要因に関する疫学的研究

うつ病の関連要因を明らかにするため,日本の一般人口を対象に,自記式調査票を用いた対面調査を行い,うつ病の有病率,性格傾向,ライフイベント,ストレス対処法,家族歴,生育歴などについて調べ,うつ病と関連が指摘されている要因を共変量とし,多変量ロジスティック回帰分析を行った.層化3 段無作為抽出法により全国から抽出された4,738 人中2,559 人(54.6%) から回答が得られた.その結果,主観的心の健康感の悪さOR 4.61,神経質 OR 3.82,親からの愛情欠如の自覚OR 2.41,自分の健康問題があるOR 2.41,耐えるというストレス対処法OR 1.88,うつの家族歴OR 1.79 の...

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Published in日大医学雑誌 Vol. 75; no. 2; pp. 81 - 87
Main Authors 鈴木, 正泰, 大井田, 隆, 内山, 真, 今野, 千聖, 兼板, 佳孝, 降籏, 隆二, 高橋, 栄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大学医学会 01.04.2016
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ISSN0029-0424
1884-0779
DOI10.4264/numa.75.2_81

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Summary:うつ病の関連要因を明らかにするため,日本の一般人口を対象に,自記式調査票を用いた対面調査を行い,うつ病の有病率,性格傾向,ライフイベント,ストレス対処法,家族歴,生育歴などについて調べ,うつ病と関連が指摘されている要因を共変量とし,多変量ロジスティック回帰分析を行った.層化3 段無作為抽出法により全国から抽出された4,738 人中2,559 人(54.6%) から回答が得られた.その結果,主観的心の健康感の悪さOR 4.61,神経質 OR 3.82,親からの愛情欠如の自覚OR 2.41,自分の健康問題があるOR 2.41,耐えるというストレス対処法OR 1.88,うつの家族歴OR 1.79 の7 項目がうつ病と正の関連を示し,リラックスを試みるストレス対処法はOR 0.47 と有意な負の関連を示した.性格傾向では,欧米と同様に神経質のみがうつ病と関連を示し,従来信じられてきたメランコリー親和型性格は関連を示さなかった.このことから,うつ病の性格要因に関しては再検討の必要があると考えられた.
ISSN:0029-0424
1884-0779
DOI:10.4264/numa.75.2_81