簡易電動装置を搭載した車椅子の運動性評価

手動車椅子を利用しての長時間の移動,段差,坂道走行は,疲労が溜まる.現在,手動車椅子の前方に取り付け,電動三輪車にする取り外し可能な簡易電動装置が存在する.この装置は,軽量かつ,手動車椅子へ容易に取り付け可能であるが,四輪車と比べて横転しやすいといった事例が報告されている.この原因には,三輪構造は旋回時に発生する遠心力による重心移動の影響を受けやすいことが考えられる.現状,簡易電動化装置の規格は定まっておらず,新しい規格を策定するためにも,本装置を装着した時の運動性を評価する必要がある.本研究では,簡易電動装置の有無による車椅子の運動の変化を解析した.旋回時の遠心力により変化すると考えられる人...

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Published in生体医工学 Vol. Annual56; no. Abstract; p. S388
Main Authors 青木, 智暉, ペリシコ, フランチェスコ, ベオモンテゾベル, ピエルイジ, 花房, 昭彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
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Summary:手動車椅子を利用しての長時間の移動,段差,坂道走行は,疲労が溜まる.現在,手動車椅子の前方に取り付け,電動三輪車にする取り外し可能な簡易電動装置が存在する.この装置は,軽量かつ,手動車椅子へ容易に取り付け可能であるが,四輪車と比べて横転しやすいといった事例が報告されている.この原因には,三輪構造は旋回時に発生する遠心力による重心移動の影響を受けやすいことが考えられる.現状,簡易電動化装置の規格は定まっておらず,新しい規格を策定するためにも,本装置を装着した時の運動性を評価する必要がある.本研究では,簡易電動装置の有無による車椅子の運動の変化を解析した.旋回時の遠心力により変化すると考えられる人体の重心位置の変位量を,疑似的に遠心力を加えることにより計測した.6自由度モーションベースを利用して,被験者を搭載した椅子を傾斜させ,重心の移動量を三次元動作解析システムで計測した.この計測結果を考慮した旋回時の運動の理論値計算とMotionSolve (アルテアエンジニアリング株式会社)によるシミュレーション解析を行った.走行速度と旋回半径を変えた時の理論値計算とシミュレーションの結果,日本における電動車椅子の制限速度6[km / h]で走行中も,十分に横転する可能性があると示唆された.今後は,実機での計測を行い,解析結果との比較検証を進める.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S388