時間領域独立成分分析によるホルター心電図からの呼吸状態の推定

睡眠時無呼吸症候群の検査方法として終夜睡眠ポリグラフ検査があるが,病院で泊まり込み多くの検査機器を装着して行う検査であり,患者に多くの負担をかけてしまうという問題がある.一方で,心電図信号には呼吸情報が含まれていることが報告されており,ホルター心電図による睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングが注目されている.平均心拍間隔を用いて無呼吸状態を推定する方法が提案されているが,心房細動患者においては,心拍数が不規則に変化することから,検出精度が低下するという問題がある.そこで本研究では,心房細動患者を対象として,ホルター心電計より得られた2チャネルの心電図信号から時間領域独立成分分析を利用して呼吸情報...

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Published in生体医工学 Vol. Annual56; no. Abstract; p. S355
Main Authors 井上, 聖也, 田中, 明, 井芹, 史明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
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Summary:睡眠時無呼吸症候群の検査方法として終夜睡眠ポリグラフ検査があるが,病院で泊まり込み多くの検査機器を装着して行う検査であり,患者に多くの負担をかけてしまうという問題がある.一方で,心電図信号には呼吸情報が含まれていることが報告されており,ホルター心電図による睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングが注目されている.平均心拍間隔を用いて無呼吸状態を推定する方法が提案されているが,心房細動患者においては,心拍数が不規則に変化することから,検出精度が低下するという問題がある.そこで本研究では,心房細動患者を対象として,ホルター心電計より得られた2チャネルの心電図信号から時間領域独立成分分析を利用して呼吸情報を抽出する方法を開発し,その情報から無呼吸後の呼吸再開点の検出を行うことを目的とした.具体的には,心臓から胸部表面までの心電図の伝達特性が呼吸により変化することで心電図波形が変化すると仮定し,時空間混合信号に対応したブラインド信号源分離の手法である時間領域独立成分分析を利用し算出されるモデルパラメータの変動から呼吸状態の推定を行った.また,R波のピークをスプライン補間することで抽出される呼吸波形および心拍変動を用いた呼吸状態の推定方法との比較を行った.結果として,呼吸状態に同期した特徴的な波形が見られ,呼吸状態推定の可能性が示された.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S355