わが国における人工股関節全置換術の 術前皮膚処置の実態
人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)が行われるようになった1970年頃より手術部位感染(Surgical Site Infection:SSI)予防目的で“術前2日間に渡る病棟における複数回のブラッシング消毒”,“滅菌覆布による被覆”,“術前日の広範囲な剃刀による剃毛”が実施されてきたが,1999年頃よりエビデンスをもとに推奨されなくなった.本研究の目的は,2015年においても「推奨されなくなった方法を行っている施設があるのか,また,行っている施設があればその理由は何か」を明らかにすることである.対象は国内における200床以上で整形外科を標榜する全施設で,...
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Published in | 日本運動器看護学会誌 Vol. 15; pp. 65 - 72 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本運動器看護学会
2020
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Subjects | |
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ISSN | 2186-635X 2435-001X |
DOI | 10.34324/jsmn.15.0_65 |
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Summary: | 人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)が行われるようになった1970年頃より手術部位感染(Surgical Site Infection:SSI)予防目的で“術前2日間に渡る病棟における複数回のブラッシング消毒”,“滅菌覆布による被覆”,“術前日の広範囲な剃刀による剃毛”が実施されてきたが,1999年頃よりエビデンスをもとに推奨されなくなった.本研究の目的は,2015年においても「推奨されなくなった方法を行っている施設があるのか,また,行っている施設があればその理由は何か」を明らかにすることである.対象は国内における200床以上で整形外科を標榜する全施設で,THAの術前処置方法とその理由に関する自記式質問紙調査を実施し,237施設より回答を得た.その結果,“身体保清を実施している”施設は234施設(98.7%)であった.除毛を“病棟と手術室の両方で実施している”のは64施設(27%)で,実施理由は“体毛が濃い人のみ行う”であった.除毛時の使用器具として“電気バリカンを使用している”施設は34施設(58,6%)で,“剃刀を使用している”施設は2施設であったが使用理由の記載はなかった.皮膚消毒を“病棟と手術室の両方で実施している”のは35施設(14.8%)で,“両方で実施している”理由は“医師の指示”が最も多かった.実施している施設のうち“皮膚ブラシ使用”は4施設(11.8%)であったが,使用理由の記載はなかった.“消毒部位に滅菌包布での被覆を実施している”施設は24施設であった.以上よりTHAのSSI予防のための術前皮膚処置方法は,推奨方法で実施している施設が多かったことが明らかになった. |
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ISSN: | 2186-635X 2435-001X |
DOI: | 10.34324/jsmn.15.0_65 |