術前診断し切除した胃癌異時性孤立性S状結腸転移の1例

症例は57歳,女性.4年前に当院において,胃癌に対して胃全摘術(D2)を施行された.病理診断は,por2>muc>sig>>tub2>tub1,T4a(SE),ly3,v2,N3b,H0,P0,CY0,M0,pStage III Cであった.今回,他院で施行された便潜血反応が陽性であったため,精査目的に当院へ紹介となった.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に狭窄病変を認め,生検で低分化型腺癌の診断であった.前回手術の胃癌と類似した組織像を呈していたため,胃癌の転移の可能性が示唆された.他に遠隔転移や腹膜播種を認めず治癒切除可能と判断し,S状結腸切除術を施行した.病理組織診断の結果,胃癌組織と同様の...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 1; pp. 80 - 85
Main Authors 木下, 新作, 浅野, 栄介, 近藤, 彰宏, 隈元, 謙介, 岡野, 圭一, 鈴木, 康之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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Summary:症例は57歳,女性.4年前に当院において,胃癌に対して胃全摘術(D2)を施行された.病理診断は,por2>muc>sig>>tub2>tub1,T4a(SE),ly3,v2,N3b,H0,P0,CY0,M0,pStage III Cであった.今回,他院で施行された便潜血反応が陽性であったため,精査目的に当院へ紹介となった.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に狭窄病変を認め,生検で低分化型腺癌の診断であった.前回手術の胃癌と類似した組織像を呈していたため,胃癌の転移の可能性が示唆された.他に遠隔転移や腹膜播種を認めず治癒切除可能と判断し,S状結腸切除術を施行した.病理組織診断の結果,胃癌組織と同様の所見を呈していた.さらに,免疫組織学的染色でCK7(+),MUC5AC(+),MUC6(+),MUC2(-),CK20(-),CDX2(-)で大腸原発としては典型的でなかったため,胃癌の大腸転移の診断となった.胃癌の転移性大腸癌の診断には難渋することもあるが,免疫組織学的染色により診断可能であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.80