心室筋張力速度関係が左心室壁内応力分布に与える影響

心室筋には,力学的な基本特性として短縮速度に応じて収縮力が変化する張力速度関係が存在することが知られている.また,左心室壁には内膜側から外膜側に向かって貫壁性の拡張末期筋節長の分布が存在することが報告されており,さらに筋節の短縮率も一定ではないという報告がある.これらの値には複数の報告があり正確な値は不明であるが,心壁内の応力の分布に張力速度関係がどのような影響を与えているかは,数理モデルで解析可能である.そこで,本研究では左心室貫壁内の異なる位置に存在する心室筋細胞を想定した,拡張末期半筋節長,収縮における半筋節長の短縮率について,心室筋細胞モデルにおける速度依存性を表現した数式項の有無の影...

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Published in生体医工学 Vol. Annual56; no. Abstract; p. S348
Main Authors 加藤, 詩朗, 田村, 久美子, 天野, 晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
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Summary:心室筋には,力学的な基本特性として短縮速度に応じて収縮力が変化する張力速度関係が存在することが知られている.また,左心室壁には内膜側から外膜側に向かって貫壁性の拡張末期筋節長の分布が存在することが報告されており,さらに筋節の短縮率も一定ではないという報告がある.これらの値には複数の報告があり正確な値は不明であるが,心壁内の応力の分布に張力速度関係がどのような影響を与えているかは,数理モデルで解析可能である.そこで,本研究では左心室貫壁内の異なる位置に存在する心室筋細胞を想定した,拡張末期半筋節長,収縮における半筋節長の短縮率について,心室筋細胞モデルにおける速度依存性を表現した数式項の有無の影響を,心室内の応力分布の観点から解析した.速度依存項は,細胞短縮率の増大に対して収縮力を減弱する作用があり,また拡張末期筋節長と最大収縮力は正に相関することが知られている.幾何学的には,内膜側に対し外膜側の短縮率が低くなると考えられているが,この場合,内膜側拡張末期筋節長が大きいと,貫壁方向への最大収縮力の分布は均等化する傾向があることが分かった.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S348