健康増進計画の推進のための栄養・食生活分野におけるデータ活用
健康日本21(第二次)において,自治体では,健康づくりのために,既存の健康関連データを活用した栄養・食生活施策が進められている.自治体の行政栄養士には,医療費の削減を目指した健康づくり及び栄養・食生活の改善が求められており,PDCAサイクルの推進がより効果的に図られることが重要である.そこで,既存データを活用した事業計画の方法論について3つの方向から検討を行ってきた. 1つめは,国立保健医療科学院の短期研修「健康日本21(第二次)推進のための栄養・食生活の施策の企画・調整に関する研修」を実施し,その内容について栄養の職能団体(日本栄養士会),公衆衛生領域団体(保健所栄養士会)で行われる研修と研...
Saved in:
Published in | 保健医療科学 Vol. 66; no. 1; pp. 7 - 20 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
国立保健医療科学院
2017
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1347-6459 2432-0722 |
DOI | 10.20683/jniph.66.1_7 |
Cover
Summary: | 健康日本21(第二次)において,自治体では,健康づくりのために,既存の健康関連データを活用した栄養・食生活施策が進められている.自治体の行政栄養士には,医療費の削減を目指した健康づくり及び栄養・食生活の改善が求められており,PDCAサイクルの推進がより効果的に図られることが重要である.そこで,既存データを活用した事業計画の方法論について3つの方向から検討を行ってきた. 1つめは,国立保健医療科学院の短期研修「健康日本21(第二次)推進のための栄養・食生活の施策の企画・調整に関する研修」を実施し,その内容について栄養の職能団体(日本栄養士会),公衆衛生領域団体(保健所栄養士会)で行われる研修と研究事業との協力により具現化を行った. 3つの研究・研修事業を組み合わせることで,国の勧める栄養施策を都道府県レベルにおける具体的成果につなげることを試みた. 2つめは,各自治体が成果の見える栄養施策の構築に向け,健康課題の分析のためのワーキンググループ(WG)を立ち上げ,自治体内の既存データを用いて優先度の高い健康課題を抽出し,その健康課題に関連する栄養・食生活関連の既存データの再解析を行い,栄養施策における取組計画・評価のためのエビデンスとして活用することである.WGを中心に実施した結果,健康関連データの活用による健康増進計画の推進は,自治体の栄養・食生活施策の目的を明確にし,自治体内の複数事業の位置づけを検討する機会となることが示唆された. 3つめは,日本栄養士会において,上記プロセスに必要な能力についてのワークショップによる検討を行った.その結果,行政経験5 年程度の中堅期に,データを活用して健康・栄養課題を分析し資料化するスキルの育成が重要であることが確認された. これら3方向からの施策推進の試みにおいて,国立保健医療科学院で実施される短期研修「健康日本21(第二次)推進のための栄養・食生活の施策の企画・調整に関する研修」では,国の政策と自治体の施策をつなぐ役割,及び,職能団体,公衆衛生領域をつなぐ機能を果たしていたと考えられる. |
---|---|
ISSN: | 1347-6459 2432-0722 |
DOI: | 10.20683/jniph.66.1_7 |