AYA世代の乳がん患者のパートナーが乳がん診断後に初期治療を受ける患者を支える体験

本研究の目的はAYA世代の乳がん患者のパートナーが乳がん診断後に初期治療を受ける患者を支える体験を明らかにすることである。初期治療で手術と化学療法を経験し、診断から5年程度のAYA世代乳がん患者のパートナー3名に半構造化面接を行い、質的帰納的に分析した。 分析の結果、患者を支える体験は6つの大カテゴリーに集約された。パートナーは【妻を失う恐怖と対峙し続ける】中で【初期治療完遂のためにできる限りを尽くして妻の負担を軽減する】と【妻の乳がん罹患によって変化した家族を柱となって守る】を同時に担い、多重役割を抱えて【一人ではすべてを背負いきれない】状況となるが【自分自身が周囲の人から力を得る】ことで乗...

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Published in医療看護研究 Vol. 21; no. 1; pp. 48 - 58
Main Authors 石元, 有美, 髙山, 京子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 順天堂大学医療看護学部 2024
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ISSN1349-8630
2758-5123
DOI10.60254/jhcn.21.1_48

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Summary:本研究の目的はAYA世代の乳がん患者のパートナーが乳がん診断後に初期治療を受ける患者を支える体験を明らかにすることである。初期治療で手術と化学療法を経験し、診断から5年程度のAYA世代乳がん患者のパートナー3名に半構造化面接を行い、質的帰納的に分析した。 分析の結果、患者を支える体験は6つの大カテゴリーに集約された。パートナーは【妻を失う恐怖と対峙し続ける】中で【初期治療完遂のためにできる限りを尽くして妻の負担を軽減する】と【妻の乳がん罹患によって変化した家族を柱となって守る】を同時に担い、多重役割を抱えて【一人ではすべてを背負いきれない】状況となるが【自分自身が周囲の人から力を得る】ことで乗り越え、【新たな家族の形を構築して再発の覚悟と共に生きる】体験をしていた。また体験には、多重役割を担いながら懸命に患者を守る、AYA世代の女性としての気持ちを大切にする、他者からの支えがなければ患者を支えきれないという3つの特徴があり、看護の示唆として本研究で得られた体験のプロセスを予測しながら、パートナーの多重役割を軽減するリソースの情報を提供すること、同世代パートナーの体験を伝えること、弱音を吐けるように支援することが重要だと考えられた。
ISSN:1349-8630
2758-5123
DOI:10.60254/jhcn.21.1_48