若年女性における座位中心の身体活動が循環器疾患のリスク要因に及ぼす影響
目的 身体活動の異なる 2 群の若年女性を対象として,座位を主とする身体活動が糖尿病や循環器疾患のリスク要因に及ぼす影響を,身体的・血液生化学的指標および食事摂取状況の面から比較検討した。 方法 女子大学学生で特別な運動習慣のない食物栄養学科学生108人を非運動群,激しい運動習慣をもつ健康スポーツ学科学生100人を運動群,合計208人を対象者とし,2004年 6 月中旬~7 月中旬に調査を実施した。身長・体重を含む身体計測,二重エネルギー X 線吸収法(Dual Energy X-ray Absorptiometry; DXA)を用いた体組成,血圧脈派検査装置による四肢血圧および足関節上腕血圧...
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Published in | 日本公衆衛生雑誌 Vol. 56; no. 12; pp. 839 - 848 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本公衆衛生学会
2009
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Subjects | |
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ISSN | 0546-1766 2187-8986 |
DOI | 10.11236/jph.56.12_839 |
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Summary: | 目的 身体活動の異なる 2 群の若年女性を対象として,座位を主とする身体活動が糖尿病や循環器疾患のリスク要因に及ぼす影響を,身体的・血液生化学的指標および食事摂取状況の面から比較検討した。 方法 女子大学学生で特別な運動習慣のない食物栄養学科学生108人を非運動群,激しい運動習慣をもつ健康スポーツ学科学生100人を運動群,合計208人を対象者とし,2004年 6 月中旬~7 月中旬に調査を実施した。身長・体重を含む身体計測,二重エネルギー X 線吸収法(Dual Energy X-ray Absorptiometry; DXA)を用いた体組成,血圧脈派検査装置による四肢血圧および足関節上腕血圧比(Ankle Brachial Index; ABI),血液生化学的検査,7 日間の秤量食事記録(Dietary Record; DR)が実施された。身体的・血液生化学的検査値の各項目,DR から算出された栄養素等摂取量,食品群別摂取量を非運動群と運動群で比較した。 結果 7 日間の DR を完遂した133人(非運動群78人,運動群55人)を解析対象者とした。両群を比較すると,肥満指標については,Body Mass Index; BMI(kg/m2): 20.5, 21.4,体脂肪率:29.4%, 22.6%であり,非運動群は BMI が低いにも関わらず体脂肪率が有意に高かった。血圧では,足関節の収縮期血圧および ABI が運動群で有意に高く,血液生化学的検査値については,HOMA-β,レプチン,アポ蛋白 B が非運動群で有意に高かった。食事調査では,エネルギー:1550 kcal/日,1853 kcal/日と運動群で有意に高く,ほとんどの栄養素等摂取量が運動群で有意に高かった。 結論 非運動群で,レプチン等の血液生化学的検査値が有意に高く,ABI が有意に低かった。これは,内臓脂肪を含む体脂肪量の蓄積が影響していると考えられる。非運動群は,身体活動量の増加や習慣的な運動を実施することにより,消費エネルギーを増加させ,消費量に見合った食事量を摂取することが重要であると考えられる。 |
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ISSN: | 0546-1766 2187-8986 |
DOI: | 10.11236/jph.56.12_839 |