スマートフォンを用いた簡便で迅速な尿成分の半定量システム開発に向けた基礎的検討

尿検査は非侵襲的かつ簡便な検査法である.特に尿試験紙による検査は,少ない検体量で迅速に腎機能などを把握できるため,医療施設のみならず家庭でも使用できる.判定方法には,目視判定と機器判定があり,前者は手技が簡便であるが結果に判定者による個人差が生じる可能性がある.後者は正確な結果を得られるが,高価な機器を必要とするため利用できる場所が限られている.そこで本研究室では,スマートフォンにより尿試験紙を撮影する操作のみで,検査結果を表示,データを管理するシステムの開発を目指している.さらに取得したデータを医療施設や医師に送信することで,通院することなく判定等を受けられる可能性もあるため,本手法は疾病の...

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Published in生体医工学 Vol. Annual56; no. Abstract; p. S180
Main Authors 金田, 晃明, 横山, 徹, 木村, 主幸, 清水, 久恵, 山下, 政司, 印藤, 智一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
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Summary:尿検査は非侵襲的かつ簡便な検査法である.特に尿試験紙による検査は,少ない検体量で迅速に腎機能などを把握できるため,医療施設のみならず家庭でも使用できる.判定方法には,目視判定と機器判定があり,前者は手技が簡便であるが結果に判定者による個人差が生じる可能性がある.後者は正確な結果を得られるが,高価な機器を必要とするため利用できる場所が限られている.そこで本研究室では,スマートフォンにより尿試験紙を撮影する操作のみで,検査結果を表示,データを管理するシステムの開発を目指している.さらに取得したデータを医療施設や医師に送信することで,通院することなく判定等を受けられる可能性もあるため,本手法は疾病の早期発見や遠隔医療への応用にも期待できる.本報では,システム開発の基礎的検討として,尿試験紙と色調表の画像から抽出した赤,緑,青色の成分値を利用した判定の可能性を検討した.測定項目は,糖尿病性腎症の早期発見に重要であるアルブミンとし,BSA標準溶液を蒸留水で希釈し半定量のために4濃度に調製した.スマートフォンでは,尿試験紙と色調表の項目すべてをズームすることなく撮影し,色成分値の抽出には画像処理ソフトGIMPを使用した.実験の結果,アルブミンの半定量には,画像から抽出した光の3原色の成分値を使うことで判定できる可能性が示された.今後は,クレアチニンや尿糖などの項目を検討する予定である.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S180