経皮的膿瘍ドレナージを行った咽頭食道憩室が原因と考えられた頸部食道穿孔の1例

症例は52歳,男性。3日前から胸痛と呼吸苦を自覚し,前医で食道穿孔が疑われて当院へ紹介受診となった。来院時,意識清明で発熱と軽度の呼吸苦を認めた。胸部造影CT検査と食道造影検査より頸部食道穿孔による上縦隔膿瘍と診断した。発症から3日間経過しており,全身状態が安定していたため経皮的膿瘍ドレナージの方針とし,頸部よりエコーガイド下膿瘍穿刺を行い,ドレナージチューブを膿瘍腔内に留置した。経過中に膿瘍の進展がみられたものの,カテーテルを透視下に調整し対応した。第16病日に上部消化管内視鏡検査で頸部食道に膿瘍形成部位に一致した憩室を確認できたため,咽頭食道憩室の穿孔であると考えた。第26病日にカテーテル...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 44; no. 1; pp. 35 - 38
Main Authors 岸本, 真房, 室谷, 卓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2024
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.44.35

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Summary:症例は52歳,男性。3日前から胸痛と呼吸苦を自覚し,前医で食道穿孔が疑われて当院へ紹介受診となった。来院時,意識清明で発熱と軽度の呼吸苦を認めた。胸部造影CT検査と食道造影検査より頸部食道穿孔による上縦隔膿瘍と診断した。発症から3日間経過しており,全身状態が安定していたため経皮的膿瘍ドレナージの方針とし,頸部よりエコーガイド下膿瘍穿刺を行い,ドレナージチューブを膿瘍腔内に留置した。経過中に膿瘍の進展がみられたものの,カテーテルを透視下に調整し対応した。第16病日に上部消化管内視鏡検査で頸部食道に膿瘍形成部位に一致した憩室を確認できたため,咽頭食道憩室の穿孔であると考えた。第26病日にカテーテルを抜去し,炎症反応の再燃がなかったため,第33病日に自宅退院となった。咽頭食道憩室が原因と考えられた頸部食道穿孔による上縦隔膿瘍に対して経皮的ドレナージで治療を行った1例を経験したため報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.44.35