高濃度炭酸泉下肢浴による血液検査値の変動

高濃度炭酸泉の治療効果については,古くから主にヨーロッパで詳しく研究されている.しかしその作用機序についての,特に基礎的研究はまだ十分とは言えない.本研究は,高濃度炭酸泉が生体機能に影響を及ぼす可能性を探るために,日常の臨床検査で常用されている血液検査と血液生化学検査の項目について検討した.短期入所療養介護施設利用者10名(男性 2 名,女性 8 名,年齢81.4±6.3歳)を被験者とし,週 2 回以上の高濃度炭酸泉(800–1000 ppm 下肢浴)を 3ヶ月間繰り返した.3ヶ月後に白血球数,ヘモグロビン濃度,平均赤血球ヘモグロビン濃度の値が有意に増加した.赤血球数増加の傾向が見られたが,有...

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Published in日本生気象学会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 131 - 136
Main Author 入來, 正躬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生気象学会 2006
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ISSN0389-1313
1347-7617
DOI10.11227/seikisho.43.131

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Summary:高濃度炭酸泉の治療効果については,古くから主にヨーロッパで詳しく研究されている.しかしその作用機序についての,特に基礎的研究はまだ十分とは言えない.本研究は,高濃度炭酸泉が生体機能に影響を及ぼす可能性を探るために,日常の臨床検査で常用されている血液検査と血液生化学検査の項目について検討した.短期入所療養介護施設利用者10名(男性 2 名,女性 8 名,年齢81.4±6.3歳)を被験者とし,週 2 回以上の高濃度炭酸泉(800–1000 ppm 下肢浴)を 3ヶ月間繰り返した.3ヶ月後に白血球数,ヘモグロビン濃度,平均赤血球ヘモグロビン濃度の値が有意に増加した.赤血球数増加の傾向が見られたが,有意ではなかった.血清蛋白濃度は有意に増加した.これらの結果は炎症,造血,蛋白質代謝など種々の生体機能が炭酸泉浴の影響を受ける可能性のあることを示している.
ISSN:0389-1313
1347-7617
DOI:10.11227/seikisho.43.131