夏半球成層圏における日潮汐とノーマルモードロスビー波の干渉
大循環モデルを用いて夏半球上部成層圏における日潮汐、5日波及び10日波ノーマルモードロスビー波間の干渉を調べた。解析の結果、干渉によるEPフラックスは1日よりやや長い周期を持ち、そのほかにEPフラックスに10日程度の真の長周期変動が存在することが見いだされた。一つは準1日変化の振幅変調であり、もう一つは短周期を除いた後に残る長周期の変動である。さらに、EPフラックスが帯状平均東西風に与える影響を調べたところ、帯状平均東西風の変動は主にコリオリ項を通した帯状対称潮汐の作る帯状平均南北風に支配されていて、EPフラックスの発散による影響は一般には小さいが、5日波、10日波のロスビー波が同時増幅すると...
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Published in | 気象集誌. 第2輯 Vol. 72; no. 4; pp. 555 - 567 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
公益社団法人 日本気象学会
1994
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Summary: | 大循環モデルを用いて夏半球上部成層圏における日潮汐、5日波及び10日波ノーマルモードロスビー波間の干渉を調べた。解析の結果、干渉によるEPフラックスは1日よりやや長い周期を持ち、そのほかにEPフラックスに10日程度の真の長周期変動が存在することが見いだされた。一つは準1日変化の振幅変調であり、もう一つは短周期を除いた後に残る長周期の変動である。さらに、EPフラックスが帯状平均東西風に与える影響を調べたところ、帯状平均東西風の変動は主にコリオリ項を通した帯状対称潮汐の作る帯状平均南北風に支配されていて、EPフラックスの発散による影響は一般には小さいが、5日波、10日波のロスビー波が同時増幅するときには帯状平均東西風の変動の長周期成分がこの2つのロスビー波のみで作られるEPフラックスに支配されることがわかった。 さらに、米国NMC作成の成層圏客観解析データより日潮汐とノーマルモードロスビー波間の干渉を調べた。その結果、日潮汐は1日1回のデータサンプリングのために準停滞波として見えることがわかった。さらに、干渉時のEPフラックスに見える5日及び10日周期変化は偽のものであり、1日1回のデータサンプリングによるエリアッシングであることがわかった。 |
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ISSN: | 0026-1165 2186-9057 |
DOI: | 10.2151/jmsj1965.72.4_555 |