分子動力学法によるSiO2組成フォージャサイトの熱膨張変化の研究

マイクロ孔を有するゼオライトは,相転移や負の熱膨張など興味深い熱的挙動を示すことが知られている.様々な温度での三次元細孔の挙動を知ることは触媒反応の点から重要である.そこで本研究では立方晶のフォージャサイト(FAU)の構造を有するSiO2組成ゼオライトを分子動力学法により100 Kから1100 Kの範囲で計算を行い,格子定数および細孔に相当するスーパーケージのリング構造の変化を検討した.この温度領域において立方晶の構造は維持され格子定数aは温度上昇とともに減少し,負の熱膨張を示した.二体相関関数からは第一近接のSiとSiの原子間距離は2種類ありそれらの温度に対する挙動が異なり高温での負の熱膨張...

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Published inJournal of Computer Chemistry, Japan Vol. 14; no. 4; pp. 105 - 110
Main Authors 大川, 政志, 堤, 涼, 大石, 駿介, 松本, 泰誠, 山口, 力
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本コンピュータ化学会 2015
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Summary:マイクロ孔を有するゼオライトは,相転移や負の熱膨張など興味深い熱的挙動を示すことが知られている.様々な温度での三次元細孔の挙動を知ることは触媒反応の点から重要である.そこで本研究では立方晶のフォージャサイト(FAU)の構造を有するSiO2組成ゼオライトを分子動力学法により100 Kから1100 Kの範囲で計算を行い,格子定数および細孔に相当するスーパーケージのリング構造の変化を検討した.この温度領域において立方晶の構造は維持され格子定数aは温度上昇とともに減少し,負の熱膨張を示した.二体相関関数からは第一近接のSiとSiの原子間距離は2種類ありそれらの温度に対する挙動が異なり高温での負の熱膨張はSi-Si距離が減少することにより引き起こされていることが分かった.スーパーケージの12員環のリング径の平均値は温度に対してほとんど変化しなかったが,温度上昇に伴い振幅は大きくなり600 K以上では10%以上変化することが分かった.
ISSN:1347-1767
1347-3824
DOI:10.2477/jccj.2015-0020