代謝性アシドーシスにおけるカルシウム摂取量の差によるラットの骨組織形態計測学的変化

代謝性アシドーシスにおけるカルシウム(Ca)摂取量の差がラットの骨代謝に及ぼす影響を骨形態計測学的に検索した. 動物はlow Ca (0.02%) diet (LCD), moderate low Ca (0.3%) diet (LmCD), standard Ca (0.62%) diet (SCD), moderate high Ca (1%) diet (HmCD)およびhigh Ca (3%) diet (HCD)に大別し, さらにそれぞれを飲水として1.8%塩化アンモニウム溶液を給与したAcidotic群と蒸留水を給与した対照群とに分けた. 実験30日後血液および骨2重標識した骨材料...

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Published inJournal of Veterinary Medical Science Vol. 58; no. 7; pp. 611 - 616
Main Authors 佐藤, れえ子, 元, 鍾漢, 内藤, 善久, 福田, 俊
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 日本獣医学会 1996
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ISSN0916-7250
1347-7439
DOI10.1292/jvms.58.611

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Summary:代謝性アシドーシスにおけるカルシウム(Ca)摂取量の差がラットの骨代謝に及ぼす影響を骨形態計測学的に検索した. 動物はlow Ca (0.02%) diet (LCD), moderate low Ca (0.3%) diet (LmCD), standard Ca (0.62%) diet (SCD), moderate high Ca (1%) diet (HmCD)およびhigh Ca (3%) diet (HCD)に大別し, さらにそれぞれを飲水として1.8%塩化アンモニウム溶液を給与したAcidotic群と蒸留水を給与した対照群とに分けた. 実験30日後血液および骨2重標識した骨材料を採取した. 動脈血のpHは飼料中のCa含量を問わずAcidotic群が対照群に比べ有意の低値を示し, 血漿イオン化Ca濃度および尿中Ca排泄量は高値を示した. 大腿骨の強度および脛骨の骨量はLCD, LmCDおよびSCDで対照群に比べてAcidotic群が有意の低値を示した. Acidotic群間において, 類骨幅はLmCD, HmCDおよびHCDに比べてLCDが有意の高値を示し, 石灰化速度はHmCDおよびHCDに比べてLCDおよびLmCDが有意の高値を示した. 以上の結果から, 代謝性アシドーシスにおける骨のミネラル損失や脆弱化は, 低Ca摂取に伴う骨代謝の高回転によって促進されるが, それは充分なCa補給によって抑制できることが示唆された.
ISSN:0916-7250
1347-7439
DOI:10.1292/jvms.58.611