ウシ初代培養肝細胞におけるハプトグロビン合成はインターロイキン-6と腫瘍壊死因子で誘導されるがインターロイキン-1では効果がない

反芻動物の肝臓での急性相タンパク質の合成調節には, 他の動物とは異なる機構の存在が示唆されている. この機構を解明するため, ウシ初代培養肝細胞を用いてハプトグロビン(Hp)の合成について, インターロイキン(IL)-1, IL-6, 腫瘍壊死因子(TNF)の効果を調べた. 肝細胞を各サイトカインで刺激後, タンパク質合成量とmRNAレベルを免疫沈降法とノーザンブロット法で分析した. Hpの合成はIL-6とTNFにより増加したが, IL-1では効果は無かった. これらはmRNAレベルの変化とパラレルなので, 主に翻訳前調節の効果と考えられる. 一方, アルブミン合成はいずれのサイトカインでも抑...

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Published inJournal of Veterinary Medical Science Vol. 57; no. 2; pp. 219 - 223
Main Authors 斉藤, 昌之, 首藤, 文栄, 中川, 紀子, 森松, 正美, 川崎, 昌美, 中辻, 浩喜
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 日本獣医学会 1995
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ISSN0916-7250
1347-7439
DOI10.1292/jvms.57.219

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Summary:反芻動物の肝臓での急性相タンパク質の合成調節には, 他の動物とは異なる機構の存在が示唆されている. この機構を解明するため, ウシ初代培養肝細胞を用いてハプトグロビン(Hp)の合成について, インターロイキン(IL)-1, IL-6, 腫瘍壊死因子(TNF)の効果を調べた. 肝細胞を各サイトカインで刺激後, タンパク質合成量とmRNAレベルを免疫沈降法とノーザンブロット法で分析した. Hpの合成はIL-6とTNFにより増加したが, IL-1では効果は無かった. これらはmRNAレベルの変化とパラレルなので, 主に翻訳前調節の効果と考えられる. 一方, アルブミン合成はいずれのサイトカインでも抑制された. これらの結果は, 他の動物種の急性相タンパク質合成においてTNFとIL-1は共通した伝達経路により作用するという報告とは一致しない. したがって, ウシHp遺伝子の転写調節にはウシ特有の情報伝達経路が存在することが示唆された.
ISSN:0916-7250
1347-7439
DOI:10.1292/jvms.57.219