脳内に留置した吸収性ゼラチンスポンジ周囲に生じた肉芽腫の1例

15歳男性. 松果体部脳腫瘍に対して右前角部より神経内視鏡下生検術を施行し, tract部分には止血と髄液漏予防のために吸収性ゼラチンスポンジを留置した. 診断は未熟奇形腫で, occipital transtentorial approachでの開頭腫瘍摘出術の後, 放射線化学療法を施行した. その後, 吸収性ゼラチンスポンジが原因となり異物性肉芽腫が生じ, 摘出術を施行した. 吸収性ゼラチンスポンジによる肉芽腫形成の報告はまれではあるが, 本症例のように放射線化学療法によるゼラチンスポンジの吸収障害, ならびに体質的なアトピー素因によるゼラチンスポンジへの過剰反応により肉芽腫が形成される可...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 32; no. 1; pp. 39 - 44
Main Authors 川合, 謙介, 五味, 玲, 殖木, 洋平, 小熊, 啓文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本脳神経外科コングレス 01.01.2023
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.32.39

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Summary:15歳男性. 松果体部脳腫瘍に対して右前角部より神経内視鏡下生検術を施行し, tract部分には止血と髄液漏予防のために吸収性ゼラチンスポンジを留置した. 診断は未熟奇形腫で, occipital transtentorial approachでの開頭腫瘍摘出術の後, 放射線化学療法を施行した. その後, 吸収性ゼラチンスポンジが原因となり異物性肉芽腫が生じ, 摘出術を施行した. 吸収性ゼラチンスポンジによる肉芽腫形成の報告はまれではあるが, 本症例のように放射線化学療法によるゼラチンスポンジの吸収障害, ならびに体質的なアトピー素因によるゼラチンスポンジへの過剰反応により肉芽腫が形成される可能性がある.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.32.39