古代米種子蛋白質の蓄積とグルテリンのポリペプチド組成

種子生育期間における古代米貯蔵蛋白質の蓄積とグルテリンのポリペプチド組成について, SDS-PAGEと2次元電気泳動により現代米との比較研究を行った.種子胚乳への蛋白質の一般的な蓄積パターンを, 87kDaペプチドに対する量比でみた場合, 分子量21, 32kDaの二つのグルテリンと15kDaプロラミンが開花後7-10日で現れた後, 徐々に増加し開花後15-25日で平衡に達した.しかし, 古代米の1品種では異なるパターンを示し, 開花後7日でそれらの蛋白質が急速に増加しはじめ, 20日で最高に達しその後急速に減少した.その際, 開花後20日目における蓄積蛋白質の最高値は他の米の蓄積パターンのそ...

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Published in日本家政学会誌 Vol. 47; no. 8; pp. 755 - 763
Main Authors 小川, 正, 辻, 英明, 宅見, 賢二, 宇高, 順子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 日本家政学会 1996
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ISSN0913-5227
1882-0352
DOI10.11428/jhej1987.47.755

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Summary:種子生育期間における古代米貯蔵蛋白質の蓄積とグルテリンのポリペプチド組成について, SDS-PAGEと2次元電気泳動により現代米との比較研究を行った.種子胚乳への蛋白質の一般的な蓄積パターンを, 87kDaペプチドに対する量比でみた場合, 分子量21, 32kDaの二つのグルテリンと15kDaプロラミンが開花後7-10日で現れた後, 徐々に増加し開花後15-25日で平衡に達した.しかし, 古代米の1品種では異なるパターンを示し, 開花後7日でそれらの蛋白質が急速に増加しはじめ, 20日で最高に達しその後急速に減少した.その際, 開花後20日目における蓄積蛋白質の最高値は他の米の蓄積パターンのそれの約2倍であった.米グルテリン画分の可溶化では, 酸, 塩基, 尿素溶液よりもSDS溶液でより選択的に溶出された.いくつかの古代黒米グルテリンには他品種では欠損または僅少なポリペプチド (19kDa) がみられ, 古代黒米に固有の蛋白質種であることが示唆された.古代米グルテリンの2次元電気泳動を行った結果, 古代米, 現代米共にα (酸性) およびβ (塩基性) の二つのサブユニットを確認した.19kDaは検出できなかった.
ISSN:0913-5227
1882-0352
DOI:10.11428/jhej1987.47.755