中年ランナーにおける夏期ウルトラマラソンレース時の直腸温,心拍数および体重減少

本研究は,夏期の 77 km ウルトラマラソン時における 50 歳の男性ランナーの直腸温,心拍数,体重減少量,水分および食物摂取量を測定した.マラソン中の平均乾球温度,相対湿度および WBGT は,28.5±1.4℃, 53.8±5.2% and 28.9±2.1℃ であった.10 時間 45 分間走行時の平均心拍数および推定総エネルギー消費量は,133±17 拍/分および 6,475 kcal であった.走行中の直腸温は徐々の上昇し,マラソン完走時 2.6℃ の上昇であった.走行時において首または頭部への冷水散布は,心拍数の急激な増加と 2 分間遅れで直腸温がわずかに低下した.したがって,冷...

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Published in日本生気象学会雑誌 Vol. 48; no. 4; pp. 145 - 151
Main Authors 樫村, 修生, 中井, 誠一, 澤井, 睦美, 星, 秋夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生気象学会 2011
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Summary:本研究は,夏期の 77 km ウルトラマラソン時における 50 歳の男性ランナーの直腸温,心拍数,体重減少量,水分および食物摂取量を測定した.マラソン中の平均乾球温度,相対湿度および WBGT は,28.5±1.4℃, 53.8±5.2% and 28.9±2.1℃ であった.10 時間 45 分間走行時の平均心拍数および推定総エネルギー消費量は,133±17 拍/分および 6,475 kcal であった.走行中の直腸温は徐々の上昇し,マラソン完走時 2.6℃ の上昇であった.走行時において首または頭部への冷水散布は,心拍数の急激な増加と 2 分間遅れで直腸温がわずかに低下した.したがって,冷水散布は,夏期ウルトラマラソン時における深部体温の上昇を防ぐことができる.しかしながら,暑熱環境下ウルトラマラソン実施の際,冷水散布は急激な自律神経系による心拍数増加反応がみられ,選手の突然死発生の原因になる可能性がある.
ISSN:0389-1313
1347-7617
DOI:10.11227/seikisho.48.145