耳鼻咽喉科薬物療法講習Ⅰ―薬力学の知識とドラッグデリバリーシステム 司会のことば

耳鼻咽喉科専門医は, 主に手術や処置など外科的手法によって評価される傾向が強く, 専門医機構認定の基本的考えもそこに立脚しています. 一方, 実地臨床において耳鼻咽喉科医は頸部から頭部にかけての内科, 外科を分かたず, 疾患に対する総合的な治療を担当しています. 具体的には, 古典的な感染症に留まらず甲状腺疾患, アレルギー疾患, めまい・感音難聴・嗅覚障害などの感覚器疾患や悪性腫瘍に対して治療計画を立て, 処方を行っています. われわれの周辺で多種多様な投薬治療が日常的に行われていることになります. また, 保険診療上では必要な薬物を必要な期間投薬することを含めて, 診療内容全体が見直しの時...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 120; no. 6; p. 862
Main Author 竹中, 洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.06.2017
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.120.862

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Summary:耳鼻咽喉科専門医は, 主に手術や処置など外科的手法によって評価される傾向が強く, 専門医機構認定の基本的考えもそこに立脚しています. 一方, 実地臨床において耳鼻咽喉科医は頸部から頭部にかけての内科, 外科を分かたず, 疾患に対する総合的な治療を担当しています. 具体的には, 古典的な感染症に留まらず甲状腺疾患, アレルギー疾患, めまい・感音難聴・嗅覚障害などの感覚器疾患や悪性腫瘍に対して治療計画を立て, 処方を行っています. われわれの周辺で多種多様な投薬治療が日常的に行われていることになります. また, 保険診療上では必要な薬物を必要な期間投薬することを含めて, 診療内容全体が見直しの時期に来ていることも事実です. アドバンスト・コース3耳鼻咽喉科薬物療法講習Iでは, 和田孝一郎講師が基礎的な「1. 薬力学の理論と臨床応用」を解説されます. 特にアレルギー疾患に用いられる抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬について, 薬効機序の特性から処方への取り組みが述べられています. 新しい薬力学の考え方も含めて専門医の先生方には得られるところが大きいと考えられます. また, 「2. がん治療薬の投与と副作用」は折舘伸彦講師が, 頭頸部がん治療薬の使い方と副作用の解説を担当されます. 今日の急性期疾患としてのがん治療は, 多くの患者が集中的な治療を病院で受け, 日にちを置かずかかりつけ医の下を訪れることが増加しています. 一方, 頭頸部がん化学療法の基準化・標準化を基礎におくレジメの開発は, 今年度AMEDで研究助成の対象となり, 漸くスタートしたところです. 希少がんではないもののこの分野での, 学会を上げての努力が求められている時でもあります. 実地医家の先生方も改めて知識の整理と薬物療法の理解に務めていただければ幸いです.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.120.862