交尾期のエゾヒグマ卵巣におけるステロイド合成酵素の免疫局在
交尾期にあるエゾヒグマの卵巣を用いて4種のステロイド合成酵素の局在を免疫組織化学的に調べた. この卵巣は, 大型卵胞を有していたことより, おそらく卵胞期のものと考えられた. 大型卵胞においては, P450 sccおよび3βHSDは内卵胞膜細胞と顆粒層細胞で認められた. P450 c17は内卵胞膜細胞で認められたが, 顆粒層細胞では認められなかった. また, P450 aromは顆粒層細胞で認められた. しかし, 中型卵胞においては, P450 sccおよび3βHSDは内卵胞膜細胞にのみ認められ, P450 aromは内卵胞膜細胞と顆粒層細胞のいずれにも認められなかった. 間質細胞では, P4...
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Published in | Journal of Veterinary Medical Science Vol. 58; no. 8; pp. 787 - 790 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
公益社団法人 日本獣医学会
1996
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ISSN | 0916-7250 1347-7439 |
DOI | 10.1292/jvms.58.787 |
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Summary: | 交尾期にあるエゾヒグマの卵巣を用いて4種のステロイド合成酵素の局在を免疫組織化学的に調べた. この卵巣は, 大型卵胞を有していたことより, おそらく卵胞期のものと考えられた. 大型卵胞においては, P450 sccおよび3βHSDは内卵胞膜細胞と顆粒層細胞で認められた. P450 c17は内卵胞膜細胞で認められたが, 顆粒層細胞では認められなかった. また, P450 aromは顆粒層細胞で認められた. しかし, 中型卵胞においては, P450 sccおよび3βHSDは内卵胞膜細胞にのみ認められ, P450 aromは内卵胞膜細胞と顆粒層細胞のいずれにも認められなかった. 間質細胞では, P450 aromを除く全ての酵素が認められた. 以上の結果は, エゾヒグマの卵胞におけるエストロジェンの産生機序は卵胞膜細胞と顆粒層細胞の両者の関連によるものであり, いわゆる2細胞説に従うこと, 大型卵胞の顆粒層細胞はプレグネノロンおよびプロジェステロンの産生能力を有すること, さらに間質がステロイド合成能力を有することを示唆している. |
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ISSN: | 0916-7250 1347-7439 |
DOI: | 10.1292/jvms.58.787 |