睡眠時の無呼吸検出に向けた非接触脈拍数モニタリングの検証

睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome, SAS)は循環器疾患や脳血管疾患などの多岐にわたる合併症の危険因子となる.わが国において治療が必要なSAS患者は数百万人規模と推定されている一方で,実際に医療機関で診断を受けている患者は推定されている患者数の15 %程度である.SAS患者には自覚症状がなく,現在診断に用いられているポリソムノグラフィ検査などは潜在患者の発見には適していない.心拍数の呼吸性変動に着目し,心拍変動や脈拍変動から無呼吸を検出する研究も行なわれている.しかし,これらの手法は被験者にセンサを取り付ける必要があり,日常的なモニタリングに適さない.そこで本研究で...

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Published in生体医工学 Vol. Annual56; no. Abstract; p. S157
Main Authors 前田, 祐佳, 伊藤, 駿史, 関根, 正樹, 田村, 俊世
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
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Summary:睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome, SAS)は循環器疾患や脳血管疾患などの多岐にわたる合併症の危険因子となる.わが国において治療が必要なSAS患者は数百万人規模と推定されている一方で,実際に医療機関で診断を受けている患者は推定されている患者数の15 %程度である.SAS患者には自覚症状がなく,現在診断に用いられているポリソムノグラフィ検査などは潜在患者の発見には適していない.心拍数の呼吸性変動に着目し,心拍変動や脈拍変動から無呼吸を検出する研究も行なわれている.しかし,これらの手法は被験者にセンサを取り付ける必要があり,日常的なモニタリングに適さない.そこで本研究では,非接触脈拍数モニタリングシステムを開発し,日常生活に適した睡眠中の無呼吸検出手法の検証を目的とする.システムの要件を満たすために,我々は赤外線画像から脈拍数を測定し,得られた脈拍変動から呼吸停止検出を行った.10 人の若年成人を対象に模擬的な呼吸停止を指示する実験を行った.提案する非接触脈拍数モニタリングシステムと心電図との比較を行った結果,安静時では誤差率5.0%,呼吸停止を含む区間では誤差率6.0%であり,高い精度の脈拍変動モニタリングが可能であることが示された.さらに呼吸停止の検出においては被験者に適した閾値のキャリブレーションにより0.65の感度でのイベント検出を実現した.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S157