正常あるいは奇形胎子を娩出した母牛の妊娠中性ステロイド値の変化

2胚移植によって受胎した正常双胎妊娠牛(N牛), フリーマーチン妊娠牛(F牛)および反転性裂体妊娠牛(S牛)の妊娠全期間にわたる末梢血中プロジェステロン(P4), エストロン(E1)およびエストラジオール(E2)の消長を調べた. 血中P4濃度は, F牛が妊娠254日に双子を死産した際に急減した他は, 三者の間には相違がみられなかった. 血中E1濃度は, N牛においては好期の経過に伴い上昇し, 分娩日に最高値を示した後に急減し, F牛においてはN牛よりも低い値で推移し, 妊娠254日に突然上昇した後に急減した. また, S牛においてもN牛より低く, 変動を伴って推移した. 血中E2濃度は, 三者...

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Published inJournal of Veterinary Medical Science Vol. 57; no. 4; pp. 659 - 663
Main Authors パテル, オズマン・ヴァリ, 平子, 誠, 高橋, 透, 佐々木, 伸雄, 百目鬼, 郁男
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 日本獣医学会 1995
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Summary:2胚移植によって受胎した正常双胎妊娠牛(N牛), フリーマーチン妊娠牛(F牛)および反転性裂体妊娠牛(S牛)の妊娠全期間にわたる末梢血中プロジェステロン(P4), エストロン(E1)およびエストラジオール(E2)の消長を調べた. 血中P4濃度は, F牛が妊娠254日に双子を死産した際に急減した他は, 三者の間には相違がみられなかった. 血中E1濃度は, N牛においては好期の経過に伴い上昇し, 分娩日に最高値を示した後に急減し, F牛においてはN牛よりも低い値で推移し, 妊娠254日に突然上昇した後に急減した. また, S牛においてもN牛より低く, 変動を伴って推移した. 血中E2濃度は, 三者ともにE1より低く, かつE1濃度に平行して推移した. 血中E1, E2濃度は, 分娩後1日にN牛では両者とも20pg/ml以下の値に低下したが, F牛とS牛はE1が150kg/ml以上, E2が20pg/ml以上の値を示した. この成績は, 妊娠中の胎子数の判定同様子宮内の胞子の予後の判定においても, P4よりE1やE2の方が優れた指標となることを示唆している.
ISSN:0916-7250
1347-7439
DOI:10.1292/jvms.57.659