擬似水素としてのミュオンと第一原理計算の組み合わせによる水素の電子状態研究

水素の軽い同位体である素粒子ミュオン (Mu) を用いて透明酸化物半導体InGaZnO4 (IGZO) 中における水素の電子状態を調べた.ミュオンスピン回転法で観測された久保-鳥谷部関数における緩和率Δと,第一原理計算による水素のシミュレーションの組み合わせから,結晶IGZOやアモルファスの薄膜a-IGZO中でのミュオンはZn-Oの結合中心位置で安定化することを明らかにした.ZnOとの類推から,対応する水素はドナーとして働くことを示唆している.高濃度に水素チャージした薄膜a-IGZOでは,スペクトル形状の変化から,一部のミュオンが酸素欠損位置でMu−H−として存在していることを示唆する結果を得...

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Published inJournal of Computer Chemistry, Japan Vol. 19; no. 3; pp. 106 - 114
Main Authors 平石, 雅俊, 小嶋, 健児, 岡部, 博孝, 幸田, 章宏, 門野, 良典, 井手, 啓介, 松石, 聡, 雲見, 日出也, 神谷, 利夫, 細野, 秀雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本コンピュータ化学会 2020
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Summary:水素の軽い同位体である素粒子ミュオン (Mu) を用いて透明酸化物半導体InGaZnO4 (IGZO) 中における水素の電子状態を調べた.ミュオンスピン回転法で観測された久保-鳥谷部関数における緩和率Δと,第一原理計算による水素のシミュレーションの組み合わせから,結晶IGZOやアモルファスの薄膜a-IGZO中でのミュオンはZn-Oの結合中心位置で安定化することを明らかにした.ZnOとの類推から,対応する水素はドナーとして働くことを示唆している.高濃度に水素チャージした薄膜a-IGZOでは,スペクトル形状の変化から,一部のミュオンが酸素欠損位置でMu−H−として存在していることを示唆する結果を得た.
ISSN:1347-1767
1347-3824
DOI:10.2477/jccj.2020-0018