2型糖尿病を有する高血圧症患者におけるテルミサルタンの血糖コントロールへの影響

目的: ARBは一般的にインスリン抵抗性改善作用を有することが認められているが, テルミサルタンはこれに加えPPAR-γ活性化作用を持つことが報告され, インスリン抵抗性の改善がより期待されている. 本研究では糖尿病合併高血圧患者におけるテルミサルタンの血糖コントロールに与える影響を検討した.対象: 当院外来通院中の2型糖尿病合併高血圧症患者で, テルミサルタン (20-80mg/日) を投与されている患者66例 (男性39例, 女性27例, 平均年齢68.4±9.4歳) を対象とした.方法: インスリン治療を受けているもの, また, 観察期間中に糖尿病治療薬を変更したものは除外した. 上記対...

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Published in順天堂医学 Vol. 53; no. 2; pp. 251 - 256
Main Authors 宮崎, 彩記子, 小島, 諭, 宮崎, 忠史, 林, 英守, 一瀬, 哲夫, 伊藤, 誠悟, 川村, 正樹, 諏訪, 哲, 櫻井, 秀彦, 住吉, 正孝, 代田, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 2007
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Summary:目的: ARBは一般的にインスリン抵抗性改善作用を有することが認められているが, テルミサルタンはこれに加えPPAR-γ活性化作用を持つことが報告され, インスリン抵抗性の改善がより期待されている. 本研究では糖尿病合併高血圧患者におけるテルミサルタンの血糖コントロールに与える影響を検討した.対象: 当院外来通院中の2型糖尿病合併高血圧症患者で, テルミサルタン (20-80mg/日) を投与されている患者66例 (男性39例, 女性27例, 平均年齢68.4±9.4歳) を対象とした.方法: インスリン治療を受けているもの, また, 観察期間中に糖尿病治療薬を変更したものは除外した. 上記対象においてテルミサルタン投与前と投与6ヵ月後の収縮期および拡張期血圧, BMI, HbA1Cの値を後ろ向きに比較検討した.結果: テルミサルタン投与後に, 収縮期, 拡張期血圧およびHbA1Cは有意差をもって改善したが (全てp<0.01), BMIは変化が見られなかった. 他のARBから変更した36例に限って同様の検討を行ったところ, 収縮期, 拡張期血圧は有意差を持って改善した (p<0.01) が, HbA1Cは低下したものの統計学的有意差は認めなかった. (p=0.06) 結論: テルミサルタンは糖尿病を有する高血圧症例で, 体重の増加に血圧のみならず血糖コントロールも改善する可能性が示唆された. これはテルミサルタンの選択的PPAR-γ活性化作用が関係している可能性が示唆された.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.53.251