患者状態適応型経管栄養クリニカルパスを利用した救命救急センターにおける栄養投与難渋例の解析

高度侵襲下の重症患者では早期経腸栄養が重要視されているが、嘔吐や下痢のために経管栄養の投与に難渋することが少なくない。消化器症状へのアプローチを標準化することにより、救急集中治療領域において、より正確にその実態を把握し、また、経管栄養の難渋例の解析を行った。 当院救命救急センター入院症例中、経管栄養を必要とした症例を対象に患者状態適応型のクリニカルパス(以下、パス)を作成、導入した。414例中、条件を満たした全117例がエントリーした。89例(76.1%)がアウトカムを達成し、達成までに7.1 ± 4.9日を要した。胃管からの排液量過多、嘔吐、下痢のために経腸栄養剤の調整を要した症例は全117...

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Published in日本クリニカルパス学会誌 Vol. 12; no. 1; pp. 5 - 10
Main Authors 井口, 亜紀, 行岡, 哲男, 鈴木, 香里, 織田, 順, 内田, 康太郎, 三島, 史朗, 川原, 千香子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本クリニカルパス学会 15.03.2010
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ISSN2187-6592
2436-1046
DOI10.50842/jjscp.12.1_5

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Summary:高度侵襲下の重症患者では早期経腸栄養が重要視されているが、嘔吐や下痢のために経管栄養の投与に難渋することが少なくない。消化器症状へのアプローチを標準化することにより、救急集中治療領域において、より正確にその実態を把握し、また、経管栄養の難渋例の解析を行った。 当院救命救急センター入院症例中、経管栄養を必要とした症例を対象に患者状態適応型のクリニカルパス(以下、パス)を作成、導入した。414例中、条件を満たした全117例がエントリーした。89例(76.1%)がアウトカムを達成し、達成までに7.1 ± 4.9日を要した。胃管からの排液量過多、嘔吐、下痢のために経腸栄養剤の調整を要した症例は全117例中35例(29.9%)あり、調整に要した期間は7.8 ± 8.5日(1〜46日)であった。胃管排液量過多、嘔吐を生じた症例は26例(74.3%)、下痢を生じた症例は5例(14.3%)、胃管排液量過多、嘔吐と下痢をともに生じた症例は4例(11.4%)であった。調整に要した期間が5日以上であった例は22例(62.9%)であり、うち死亡例が10例を占めた。重症の脳血管障害、重症の敗血症、低心機能例で多くみられ、早期経腸栄養が重要視される病態の多くで実際には経管栄養管理に難渋していた。
ISSN:2187-6592
2436-1046
DOI:10.50842/jjscp.12.1_5