腹腔鏡下に切除した腫瘍内感染を伴う胃 gastrointestinal stromal tumorの1例
要旨:胃消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor, GIST)は腫瘍径の増大に伴い内部の変性,出血,壊死をきたすことがあり,腫瘍内部の感染を呈する場合がある。症例は82歳女性。近医で施行された上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy, EGD)で穹窿部に粘膜下腫瘍を指摘され,当院紹介となった。当院で施行したEGDでは穹窿部にdelleを伴う56×47mmの粘膜下腫瘍を認めた。超音波内視鏡下穿刺吸引法を施行しGISTの診断となり手術待機中であったが,意識障害,体動困難のため前医に救急搬送された。造影CT検査で腫瘍径の増大および...
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Published in | 福島医学雑誌 Vol. 74; no. 2; pp. 41 - 46 |
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Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
福島医学会
2024
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Subjects | |
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Summary: | 要旨:胃消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor, GIST)は腫瘍径の増大に伴い内部の変性,出血,壊死をきたすことがあり,腫瘍内部の感染を呈する場合がある。症例は82歳女性。近医で施行された上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy, EGD)で穹窿部に粘膜下腫瘍を指摘され,当院紹介となった。当院で施行したEGDでは穹窿部にdelleを伴う56×47mmの粘膜下腫瘍を認めた。超音波内視鏡下穿刺吸引法を施行しGISTの診断となり手術待機中であったが,意識障害,体動困難のため前医に救急搬送された。造影CT検査で腫瘍径の増大および内部のairを伴う液体貯留を認めた。血液検査では著明な炎症反応の上昇を認め,胃GISTの腫瘍内感染の診断で抗菌薬による加療を開始した。当院転院後にEGDを行ったがすでに胃内に穿通し膿性の排液が認められたため追加でのドレナージは施行しなかった。感染のコントロールが得られ,待機的に腹腔鏡下胃局所切除術を施行した。術後経過は良好で術後14日目にリハビリ目的に転院した。病理組織学的検査では腫瘍径は4.0×3.0mmで断端は陰性だった。modified Fletcher分類で再発超低リスク群の胃GISTの診断となり術後補助療法は施行せず,術後4ヶ月再発なく経過している。今回,腫瘍内感染から敗血症に至ったものの,保存的加療により腫瘍の縮小が得られたため腹腔鏡下胃局所切除術を施行した胃GISTの症例を経験した。胃GISTの腫瘍内感染は適切にドレナージが施行され,感染コントロールが得られれば腹腔鏡下に安全に低侵襲な手術が可能である。胃GISTの腫瘍内感染を発症した症例のうち待機的に手術を行った症例について文献的考察を含めて報告する。 |
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ISSN: | 0016-2582 2436-7826 |
DOI: | 10.5387/fmedj.74.2_41 |