病院前救護と医療の質 事故・ヒヤリハット報告分析ならびにアンケート意識調査から

目的:消防機関での患者安全ならびに医療の質についての現状を明らかにすることを目的に,インシデント報告に該当する事故・ヒヤリハット報告の分析を行い,岐阜県メディカルコントロール協議会の協力の下,想定事例を提示したアンケートによる意識調査を実施した。結果:消防ヒヤリハットデータベースでは交通事故関連,岐阜県での事故・ヒヤリハット報告では資器材関連が多いこと,リスク管理要項の認知は十分といえなかったこと,事故・ヒヤリハット報告に半数以上が心理的抵抗ありと答えていたことが明らかとなった。また,想定事例から消防本部では問題と考えられる事例については報告すべきとしているも,現場では傷病者の予後に影響がない...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 24; no. 5; pp. 696 - 704
Main Authors 熊田, 恵介, 山田, 法顕, 吉田, 隆浩, 名知, 祥, 豊田, 泉, 村上, 啓雄, 小倉, 真治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床救急医学会 31.10.2021
日本臨床救急医学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-0581
2187-9001
DOI10.11240/jsem.24.696

Cover

More Information
Summary:目的:消防機関での患者安全ならびに医療の質についての現状を明らかにすることを目的に,インシデント報告に該当する事故・ヒヤリハット報告の分析を行い,岐阜県メディカルコントロール協議会の協力の下,想定事例を提示したアンケートによる意識調査を実施した。結果:消防ヒヤリハットデータベースでは交通事故関連,岐阜県での事故・ヒヤリハット報告では資器材関連が多いこと,リスク管理要項の認知は十分といえなかったこと,事故・ヒヤリハット報告に半数以上が心理的抵抗ありと答えていたことが明らかとなった。また,想定事例から消防本部では問題と考えられる事例については報告すべきとしているも,現場では傷病者の予後に影響がないもしくは判断に迷う事例については報告を行わないことが示唆された。考察:病院前救護に医療の質を求めていくためには,事例の集積ならびにデータ分析,救急業務に特化した形でのフォーマット作成,現場へのフィードバック体制の構築,患者安全の視点での教育,報告には心理的抵抗を軽減するための方策などが求められる。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.24.696