乳幼児をもつ保護者による医療機関の利用に関連する社会的要因 東京近郊のある市の調査から
目的 乳幼児をもつ保護者のいつでもどこでも安心して医療を受けたいという医療機関への需要が高まる中,限られた医療機関でどう対処するかが社会的課題となっている。この課題に向けて,乳幼児をもつ保護者による医療機関の利用に関連する社会的な要因を明らかにすることを目的とした。 方法 解析の対象は,東京近郊の一つの市の保育園,幼稚園,幼児サークルに通う 7 歳未満の乳幼児をもつ保護者957人(有効回答率79.2%,うち母親は97.7%)である。その市には,乳幼児医療費助成制度がある。調査方法は,質問紙の手渡し,回収箱による回収とした。調査時期は,2007年10月である。過去 1 年間に病気があり,医療機関...
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Published in | 日本公衆衛生雑誌 Vol. 56; no. 7; pp. 446 - 455 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本公衆衛生学会
2009
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Subjects | |
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ISSN | 0546-1766 2187-8986 |
DOI | 10.11236/jph.56.7_446 |
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Summary: | 目的 乳幼児をもつ保護者のいつでもどこでも安心して医療を受けたいという医療機関への需要が高まる中,限られた医療機関でどう対処するかが社会的課題となっている。この課題に向けて,乳幼児をもつ保護者による医療機関の利用に関連する社会的な要因を明らかにすることを目的とした。 方法 解析の対象は,東京近郊の一つの市の保育園,幼稚園,幼児サークルに通う 7 歳未満の乳幼児をもつ保護者957人(有効回答率79.2%,うち母親は97.7%)である。その市には,乳幼児医療費助成制度がある。調査方法は,質問紙の手渡し,回収箱による回収とした。調査時期は,2007年10月である。過去 1 年間に病気があり,医療機関の利用回数に回答があった790人を分析対象とした。調査項目は,対象児の年齢,性別,出生順,保護者の就労,親族および非親族による育児支援の人数,医療機関の利用の意識,調査時点から過去 1 年間の病気の有無と医療機関の利用回数である。乳幼児の過去 1 年間の医療機関の利用回数を被説明変数とした単回帰分析および重回帰分析を行った。 結果 過去 1 年間の医療機関の利用回数を被説明変数とした単回帰分析の結果から,対象児の持病の有無,日頃の育児を支えてくれる親族人数,医療機関の利用意識と過去 1 年間の医療機関の利用回数に関連がみられた。具体的には,対象児に持病がある場合,日頃の育児を支えてくれる親族人数が少ない場合,気軽に医療機関を利用する意識が高い場合に,過去 1 年間の医療機関の利用回数が多かった。重回帰分析の結果も,同様の結果となった。 なお,対象児の年齢や性別,出生順位,回答者の就労の有無,日頃の育児を支えてくれる非親族人数については,とくに関連はみられなかった。 結論 乳幼児をもつ保護者による医療機関の利用回数には,子どもの持病や親族による育児支援,保護者の医療機関の利用意識などの社会的な要因が関連していることが示唆された。 |
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ISSN: | 0546-1766 2187-8986 |
DOI: | 10.11236/jph.56.7_446 |