Mobile Stroke Unitに関する全国アンケート調査 課題と展望

われわれはMobile Stroke Unit(MSU)の日本導入プロジェクトとして,地域の脳卒中の病院前医療の現状,およびMSUの有用性と導入・運用の問題点を知ることを目的に,全国アンケート調査を実施した。対象は脳卒中協会支部,救命救急センター,脳卒中専門病院,消防本部とした。その結果,地域により脳梗塞t-PA治療の受療格差と,要請から病院到着間の遅延の問題を認めた。MSUがt-PA治療に役立つという回答は各々34.4%,30.7%,36.8%,48.3%であった。脳卒中・脳疾患全般に役立つという回答は各々53.1%,44.8%,56.7%,59.7%とより高率であった。これらの回答は都市・...

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Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 25; no. 4; pp. 694 - 703
Main Authors 河野, 元嗣, 廣木, 昌彦, 三澤, 雅樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床救急医学会 31.08.2022
日本臨床救急医学会
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ISSN1345-0581
2187-9001
DOI10.11240/jsem.25.694

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Summary:われわれはMobile Stroke Unit(MSU)の日本導入プロジェクトとして,地域の脳卒中の病院前医療の現状,およびMSUの有用性と導入・運用の問題点を知ることを目的に,全国アンケート調査を実施した。対象は脳卒中協会支部,救命救急センター,脳卒中専門病院,消防本部とした。その結果,地域により脳梗塞t-PA治療の受療格差と,要請から病院到着間の遅延の問題を認めた。MSUがt-PA治療に役立つという回答は各々34.4%,30.7%,36.8%,48.3%であった。脳卒中・脳疾患全般に役立つという回答は各々53.1%,44.8%,56.7%,59.7%とより高率であった。これらの回答は都市・町村や過疎地域で目立った。一方,運用体制,スタッフ確保やコストの問題が多く指摘された。MSUは日本の地方地域で有用と思われる。問題点の解決を地域組織の構築,遠隔通信の活用,MSUの低コスト化などで検討する必要がある。
ISSN:1345-0581
2187-9001
DOI:10.11240/jsem.25.694