ムンプスウイルス増殖に関わる宿主因子の機能解析

ムンプスウイルス(MuV)は小児の代表的なウイルス性感染症である流行性耳下腺炎(おたふくかぜ,ムンプス)の原因ウイルスである.他のウイルス感染と同様に,MuVの増殖過程には多くの宿主タンパク質が関与している.これまでに我々はMuV感染に関わる宿主因子として,シャペロンタンパク質であるHeat shock protein 70 (Hsp70)およびHsp90がポリメラーゼ複合体を形成するPタンパク質およびLタンパク質と相互作用し,それらウイルスタンパク質の品質管理を通して,ウイルスRNA合成に必須の宿主因子であること,R2TP複合体がウイルスRNA合成における転写/複製バランスを正確にコントロー...

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Published inウイルス Vol. 71; no. 1; pp. 71 - 78
Main Author 加藤, 大志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ウイルス学会 2021
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ISSN0042-6857
1884-3433
DOI10.2222/jsv.71.71

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Summary:ムンプスウイルス(MuV)は小児の代表的なウイルス性感染症である流行性耳下腺炎(おたふくかぜ,ムンプス)の原因ウイルスである.他のウイルス感染と同様に,MuVの増殖過程には多くの宿主タンパク質が関与している.これまでに我々はMuV感染に関わる宿主因子として,シャペロンタンパク質であるHeat shock protein 70 (Hsp70)およびHsp90がポリメラーゼ複合体を形成するPタンパク質およびLタンパク質と相互作用し,それらウイルスタンパク質の品質管理を通して,ウイルスRNA合成に必須の宿主因子であること,R2TP複合体がウイルスRNA合成における転写/複製バランスを正確にコントロールし,宿主の免疫応答を最小限に留めることで効果的なウイルス増殖に寄与する宿主タンパク質であること,Rab11がウイルスのリボ核タンパク質複合体の細胞膜への輸送に関わる宿主因子であることを明らかにしてきた.本稿では,それらの知見を中心にMuV感染に関わる宿主因子の機能について紹介する.
ISSN:0042-6857
1884-3433
DOI:10.2222/jsv.71.71