トップアスリートの口腔内状況の変化 国立スポーツ科学センターにおける20年間のメディカルチェック結果について

本研究は,JISSでの国際競技大会派遣前メディカルチェックの結果を整理し,トップアスリートの口腔内のう蝕ならびに歯周病罹患状況を評価すると共に,一般人同年代の口腔内状況と比較,評価し,今後の予防方針について検討することを目的とした.対象は,夏季および冬季各5 大会の国際競技大会出場候補選手4844名である.問診では,対象選手の3 割が口腔内に不安要素を抱えていた.ブラッシング等のセルフケアは,一般人と同等に行われていた.一人平均う蝕経験歯数(DMFT)および未処置歯う蝕保有者率は,経時的に減少傾向を示しているが,一般人と比較し有意に高い値であった.また,年齢区分毎における歯科疾患実態調査と同世...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 33; no. 1; pp. 33 - 41
Main Authors 中嶋, 耕平, 岩崎, 圭祐, 髙垣, 智博, 上野, 俊明, 友利, 杏奈, 近藤, 尚知, 豊島, 由佳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床スポーツ医学会 2025
日本臨床スポーツ医学会
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ISSN1346-4159
2758-3767
DOI10.57474/jjcsm.33.1_33

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Summary:本研究は,JISSでの国際競技大会派遣前メディカルチェックの結果を整理し,トップアスリートの口腔内のう蝕ならびに歯周病罹患状況を評価すると共に,一般人同年代の口腔内状況と比較,評価し,今後の予防方針について検討することを目的とした.対象は,夏季および冬季各5 大会の国際競技大会出場候補選手4844名である.問診では,対象選手の3 割が口腔内に不安要素を抱えていた.ブラッシング等のセルフケアは,一般人と同等に行われていた.一人平均う蝕経験歯数(DMFT)および未処置歯う蝕保有者率は,経時的に減少傾向を示しているが,一般人と比較し有意に高い値であった.また,年齢区分毎における歯科疾患実態調査と同世代間での比較検討においても,有意に高い値を示した.う蝕は予防可能となりつつある疾患であることから,個人にあったブラッシング方法を身につけ,フッ化物高配合歯磨剤等の使用と,定期検診およびプロフェッショナルケアの重要性をさらに啓発することが必要であると考えられた.
ISSN:1346-4159
2758-3767
DOI:10.57474/jjcsm.33.1_33