定型発達成人における自閉スペクトラム症傾向および発達性協調運動症傾向と動作観察・遂行時の脳波周波数との関連

発達性協調運動症(DCD)に代表される運動面の不器用さは自閉スペクトラム症(ASD)で指摘されている模倣機能の弱さに関連があるとされており、その神経生理学的基盤はミラーニューロンシステムである。その活動は脳波周波数のうち感覚運動野のmu波が反映し、自身の動作遂行時と他者の動作観察時、運動イメージの想起時に抑制される。本研究では、定型発達成人29名を対象に(1)動作遂行時(2)他者の動作観察時(3)無生物の動作観察時(4)ランダムドットパターンとメトロノーム音の視聴時の脳波のmu波成分について、ASD傾向およびDCD傾向との関連を分析した。その結果、ASD傾向との関連とDCD傾向との関連のいずれ...

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Published in障害科学研究 Vol. 47; no. 1; pp. 1 - 12
Main Authors 岡崎, 慎治, 小林, 愛佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 障害科学学会 31.03.2023
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ISSN1881-5812
2432-0714
DOI10.20847/adsj.47.1_1

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Summary:発達性協調運動症(DCD)に代表される運動面の不器用さは自閉スペクトラム症(ASD)で指摘されている模倣機能の弱さに関連があるとされており、その神経生理学的基盤はミラーニューロンシステムである。その活動は脳波周波数のうち感覚運動野のmu波が反映し、自身の動作遂行時と他者の動作観察時、運動イメージの想起時に抑制される。本研究では、定型発達成人29名を対象に(1)動作遂行時(2)他者の動作観察時(3)無生物の動作観察時(4)ランダムドットパターンとメトロノーム音の視聴時の脳波のmu波成分について、ASD傾向およびDCD傾向との関連を分析した。その結果、ASD傾向との関連とDCD傾向との関連のいずれにおいても、動作遂行時と動作観察時にASD傾向またはDCD傾向の弱い群でよりmu波の抑制が認められた。以上より、ミラーニューロンシステムの活動はASD傾向およびDCD傾向の高さの影響を受け、両者にみられる不器用さは背景を共有する可能性が推察された。
ISSN:1881-5812
2432-0714
DOI:10.20847/adsj.47.1_1