胃内視鏡検診受診者における「胃炎の京都分類」からみたH. pylori感染動態

目的:胃内視鏡検診受診者を対象に,「胃炎の京都分類」を用いてH. pylori感染動態を検討する.方法:胃内視鏡検診を受検した460例(男性251例,平均年齢51.4歳)を対象とした.H. pylori感染については,胃粘膜萎縮がなく,胃体下部小彎にRAC(regular arrangement of collecting venules)が観察される症例を未感染(疑い),びまん性発赤と萎縮を認める症例を現感染(疑い),萎縮を認めるがびまん性発赤を認めない症例を既感染(疑い)として,年齢別の感染動態の頻度,地図状発赤の出現頻度および地図状発赤と胃粘膜萎縮との関連について検討した.結果:胃内視鏡...

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Published in人間ドック (Ningen Dock) Vol. 33; no. 1; pp. 29 - 34
Main Authors 高尾, 俊弘, 春間, 賢, 藤本, 壮八, 鎌田, 智有, 山中, 義之, 井上, 和彦, 眞部, 紀明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2018
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ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock.33.29

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Summary:目的:胃内視鏡検診受診者を対象に,「胃炎の京都分類」を用いてH. pylori感染動態を検討する.方法:胃内視鏡検診を受検した460例(男性251例,平均年齢51.4歳)を対象とした.H. pylori感染については,胃粘膜萎縮がなく,胃体下部小彎にRAC(regular arrangement of collecting venules)が観察される症例を未感染(疑い),びまん性発赤と萎縮を認める症例を現感染(疑い),萎縮を認めるがびまん性発赤を認めない症例を既感染(疑い)として,年齢別の感染動態の頻度,地図状発赤の出現頻度および地図状発赤と胃粘膜萎縮との関連について検討した.結果:胃内視鏡所見からH. pylori感染を診断した結果,未感染295例,現感染50例および既感染115例であった.年齢別の各群の頻度は未感染では39歳以下が85.0%(51/60),以後加齢とともにその頻度は低下した.一方,既感染では加齢とともにその頻度は高くなり,60~79歳では37.2%(32/86)であった.既感染のうち地図状発赤の出現頻度は22.6%(26/115)であり,高度萎縮を伴っていた.結論:「胃炎の京都分類」は,胃がんの低リスクと高リスクを選定することが可能であった.特に,高度萎縮を背景とする地図状発赤を認める症例では,除菌後の胃がんを考慮した定期的なサーベイランスが必要である.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.33.29