Sjögren症候群の病態と治療

Sjögren症候群(シェーグレン症候群:SS)はドライアイ,ドライマウスを主症状とする全身疾患である.抗SS-A抗体,抗SS-B抗体,リウマトイド因子,抗核抗体などの自己抗体が血清中に検出されること,唾液腺・涙腺などの諸臓器に自己反応性T細胞浸潤が認められることから,病因として自己免疫応答が考えられている.最近,唾液分泌に重要な受容体であるムスカリン作働性アセチルコリン受容体(M3R)に対する自己抗体やT細胞の存在がSSにおいて明らかにされてきた.さらに,M3Rに対する免疫応答によりSS類似の自己免疫性唾液腺炎が発症することがマウスモデルで証明され,SS発症の分子機構の一部が解明されてきた....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本内科学会雑誌 Vol. 100; no. 10; pp. 3055 - 3063
Main Author 住田, 孝之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 2011
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.100.3055

Cover

More Information
Summary:Sjögren症候群(シェーグレン症候群:SS)はドライアイ,ドライマウスを主症状とする全身疾患である.抗SS-A抗体,抗SS-B抗体,リウマトイド因子,抗核抗体などの自己抗体が血清中に検出されること,唾液腺・涙腺などの諸臓器に自己反応性T細胞浸潤が認められることから,病因として自己免疫応答が考えられている.最近,唾液分泌に重要な受容体であるムスカリン作働性アセチルコリン受容体(M3R)に対する自己抗体やT細胞の存在がSSにおいて明らかにされてきた.さらに,M3Rに対する免疫応答によりSS類似の自己免疫性唾液腺炎が発症することがマウスモデルで証明され,SS発症の分子機構の一部が解明されてきた.治療では,QOLを高めるM3Rアゴニスト薬などの進歩,生命予後を改善する生物学的製剤の登場,治験報告などがなされてきた.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.100.3055