バラ花弁の周期的成長

多くの花きは特定の時間帯に開花が進行することが知られており,バラも樹上では明け方から数時間の時間帯に開花が進行することが報告されている.収穫したバラ切り花の葉をすべて取り除き,12 時間明期・12 時間暗期の条件下で保持して観察した.すると切り花の開花は暗期終了直前から数時間の特定の時間帯に集中して進行し,葉を取り除いた切り花も開花リズムを示すことが明らかになった.この結果は,花弁やがく片,あるいは茎が光を感知し花弁成長を外部の日長に同調させることができることを示している.次に,切り花を 24 時間暗期で保持すると,周期的な開花の進行が観察されたが,開花が進行する周期は 12 時間明期・12...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJournal of the Japanese Society for Horticultural Science Vol. 83; no. 4; pp. 302 - 307
Main Authors 堀部, 貴紀, 山田, 邦夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 園芸学会 2014
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:多くの花きは特定の時間帯に開花が進行することが知られており,バラも樹上では明け方から数時間の時間帯に開花が進行することが報告されている.収穫したバラ切り花の葉をすべて取り除き,12 時間明期・12 時間暗期の条件下で保持して観察した.すると切り花の開花は暗期終了直前から数時間の特定の時間帯に集中して進行し,葉を取り除いた切り花も開花リズムを示すことが明らかになった.この結果は,花弁やがく片,あるいは茎が光を感知し花弁成長を外部の日長に同調させることができることを示している.次に,切り花を 24 時間暗期で保持すると,周期的な開花の進行が観察されたが,開花が進行する周期は 12 時間明期・12 時間暗期で保持したときに比べ短くなった.一方,切り花を 24 時間明期で保持した場合は開花リズムが観察されず,開花は連続的に進行した.以上の結果から,バラの周期的な開花の進行とそのリズムの維持は,明暗の変化に大きく影響を受けることが明らかとなった.また花弁 1 枚を 12 時間明期・12 時間暗期の条件下で保持した場合でも周期的な花弁の肥大成長が観察されたことから,花弁 1 枚でも光を感知し自身の成長を外部の日長に同調できることが示された.
ISSN:1882-3351
1882-336X
DOI:10.2503/jjshs1.CH-101