日本海産ニジカジカにみられた珍奇な歯牙腫

2002年6月下旬に富山湾沖で獲れた全長274mmのニジカジカに, 上顎から口腔外へ突出していた径29mm, 高さ19mm, 重さ6.5gもある顕著な腫瘍塊が発見された。組織像の観察では, この腫瘍は扁平上皮で囲まれ, 基質全体にわたって多数の歯牙様組織塊(歯胚, 未完成歯)が散在していた。これら歯胚は, 象牙芽細胞, 象牙前質, 象牙質から形成されていたが, エナメル質は見られなかった。基質内には, 相当数の骨質片(海綿骨)も存在していた。本腫瘍は複合性歯牙腫と診断されたが, 発生因については明確にできなかった。...

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Published in魚病研究 Vol. 38; no. 2; pp. 53 - 58
Main Authors 人見, 次郎, 牛木, 辰男, 武田, 政衛, 本間, 義治
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本魚病学会 2003
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ISSN0388-788X
1881-7335
DOI10.3147/jsfp.38.53

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Summary:2002年6月下旬に富山湾沖で獲れた全長274mmのニジカジカに, 上顎から口腔外へ突出していた径29mm, 高さ19mm, 重さ6.5gもある顕著な腫瘍塊が発見された。組織像の観察では, この腫瘍は扁平上皮で囲まれ, 基質全体にわたって多数の歯牙様組織塊(歯胚, 未完成歯)が散在していた。これら歯胚は, 象牙芽細胞, 象牙前質, 象牙質から形成されていたが, エナメル質は見られなかった。基質内には, 相当数の骨質片(海綿骨)も存在していた。本腫瘍は複合性歯牙腫と診断されたが, 発生因については明確にできなかった。
ISSN:0388-788X
1881-7335
DOI:10.3147/jsfp.38.53