温熱とDNAとの出会い:DNA損傷と修復

温熱療法は,化学療法や放射線療法と組み合わせて,様々ながんの治療に用いられる.多くの研究は,温熱による増感作用に着目している.一方,温熱単独処理による哺乳動物細胞への影響研究も非常に重要である.DNA二本鎖切断は,DNA修飾剤や放射線により引き起こされる.温熱によっても引き起こされることが中性コメットアッセイやγH2AXのフォーカス形成により確認されている.温熱はDNA二本鎖切断を引き起こすことで細胞死を導くと考えられているが,温熱が引き起こすDNA損傷にどのような修復経路が関与するのか明らかではない.本総説では,温熱処理後にDNA二本鎖切断が形成されることの発見から,近年の相同組換え経路を用...

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Published inThermal Medicine Vol. 34; no. 2; pp. 15 - 22
Main Authors 仲川, 洋介, 梶原, 淳久, 桐田, 忠昭, 森, 英一朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハイパーサーミア学会 15.06.2018
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Summary:温熱療法は,化学療法や放射線療法と組み合わせて,様々ながんの治療に用いられる.多くの研究は,温熱による増感作用に着目している.一方,温熱単独処理による哺乳動物細胞への影響研究も非常に重要である.DNA二本鎖切断は,DNA修飾剤や放射線により引き起こされる.温熱によっても引き起こされることが中性コメットアッセイやγH2AXのフォーカス形成により確認されている.温熱はDNA二本鎖切断を引き起こすことで細胞死を導くと考えられているが,温熱が引き起こすDNA損傷にどのような修復経路が関与するのか明らかではない.本総説では,温熱処理後にDNA二本鎖切断が形成されることの発見から,近年の相同組換え経路を用いた修復に関する研究内容を含めて紹介する.
ISSN:1882-2576
1882-3750
DOI:10.3191/thermalmed.34.15