IV.フレイル・サルコペニア

「平成28年 国民生活基礎調査」によると,高齢者の要介護原因の第1位は認知症となり,それまで1位であった脳卒中と入れ替わることとなった.第3位は高齢による衰弱である.この「高齢による衰弱」とは,要介護となる明らかな原因疾患は加齢以外に見出すことができない老衰を意味する.実はここにフレイル・サルコペニアといった病態が関連している.フレイルは,加齢に伴う恒常性・生理的予備能の低下により,ストレスに対する脆弱性が亢進した状態であり,サルコペニアは,加齢に伴う骨格筋量の低下に歩行速度・握力等の身体機能の低下が合併した病態である.さまざまな内科疾患の診療において,高齢者に特徴的なこれらの病態を理解し,適...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 107; no. 12; pp. 2444 - 2450
Main Author 荒井, 秀典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.12.2018
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Summary:「平成28年 国民生活基礎調査」によると,高齢者の要介護原因の第1位は認知症となり,それまで1位であった脳卒中と入れ替わることとなった.第3位は高齢による衰弱である.この「高齢による衰弱」とは,要介護となる明らかな原因疾患は加齢以外に見出すことができない老衰を意味する.実はここにフレイル・サルコペニアといった病態が関連している.フレイルは,加齢に伴う恒常性・生理的予備能の低下により,ストレスに対する脆弱性が亢進した状態であり,サルコペニアは,加齢に伴う骨格筋量の低下に歩行速度・握力等の身体機能の低下が合併した病態である.さまざまな内科疾患の診療において,高齢者に特徴的なこれらの病態を理解し,適切な予防・介入策を講じることが超高齢社会を迎えた我が国には求められている.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.107.2444