成層圏多重平衡解と季節変化
成層圏の平均帯状風と地表の凹凸により強制された惑星波の平衡解を鉛直一次元モデルを用いて求め,その安定性を調べた。 晩秋と初春には二つの安定平衡解と一つの不安定平衡解があるが,真冬には一つの安定平衡解になる事が示される。このモデルでは,Holton and Mass(1976)により得られた振動解は現れない。 次に,基本平均帯状流の鉛直シアーを季節変化の指標として一年の周期で変え,初期値問題を解いた。冬期に二度の惑星波の増幅とそのピークの間で西風の強化が見られた。さらに、晩冬から初春にかけて最終昇温に似た帯状風の西風から東風への急激な変化が見られる。これらの結果は、Smith(1983)の解析や...
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Published in | 気象集誌. 第2輯 Vol. 65; no. 1; pp. 27 - 42 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本気象学会
1987
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Summary: | 成層圏の平均帯状風と地表の凹凸により強制された惑星波の平衡解を鉛直一次元モデルを用いて求め,その安定性を調べた。 晩秋と初春には二つの安定平衡解と一つの不安定平衡解があるが,真冬には一つの安定平衡解になる事が示される。このモデルでは,Holton and Mass(1976)により得られた振動解は現れない。 次に,基本平均帯状流の鉛直シアーを季節変化の指標として一年の周期で変え,初期値問題を解いた。冬期に二度の惑星波の増幅とそのピークの間で西風の強化が見られた。さらに、晩冬から初春にかけて最終昇温に似た帯状風の西風から東風への急激な変化が見られる。これらの結果は、Smith(1983)の解析やHolton and Werbein(1980)の数値計算の結果と良く合っている。成層圏風系の主な季節変化は多重平衡解があるため太陽放射過熱の年変化に伴い起きる履歴現象として解釈できる。 最終昇温を伴う極夜渦の崩壊はある種の非線形不安定である。すなわち,もしCharney-Drazinの臨界速度に近い冬の上部成層圏の西風が,惑星波によって乱されると波の屈折率が変化し,この変化が波の増幅を引き起こす。増幅した波は再び東風加速を起こし屈折率を変える。この過程が繰り返し起き,ついには極夜渦は壊れる。この不安定はPlumb(1981)らにより議論された共鳴による不安定とは異なる。 |
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ISSN: | 0026-1165 2186-9057 |
DOI: | 10.2151/jmsj1965.65.1_27 |