GM-CSFによる好中球走化能の二相性変化には接着分子の発現変化を伴う

GM-CSFと短時間, 37℃の条件下で好中球を培養するとFMLP刺激による走化性が亢進した.いっぽう長時間の培養では, 走化能はかえって抑制された.このとき好中球の運動に重要である接着分子 (C3biレセプター : CR3) の発現は, 培養時間とともに増強されていた.好中球の遊走能と接着分子発現を比較すると, GM-CSFによる一定の接着分子発現の増加が走化性亢進に必要であり, 過剰な発現はむしろ走化性を抑制すると推察された.この傾向は, 接着分子発現作用を有することが知られるPMAを用いても同様であった.GM-CSFの接着分子発現増強はPMAと違ってチロシンキナーゼ阻害剤により抑制され,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 12; no. 2; pp. 87 - 92
Main Authors 篠崎, 康治, 安井, 耕三, 小宮山, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 1998
Online AccessGet full text
ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.12.87

Cover

More Information
Summary:GM-CSFと短時間, 37℃の条件下で好中球を培養するとFMLP刺激による走化性が亢進した.いっぽう長時間の培養では, 走化能はかえって抑制された.このとき好中球の運動に重要である接着分子 (C3biレセプター : CR3) の発現は, 培養時間とともに増強されていた.好中球の遊走能と接着分子発現を比較すると, GM-CSFによる一定の接着分子発現の増加が走化性亢進に必要であり, 過剰な発現はむしろ走化性を抑制すると推察された.この傾向は, 接着分子発現作用を有することが知られるPMAを用いても同様であった.GM-CSFの接着分子発現増強はPMAと違ってチロシンキナーゼ阻害剤により抑制され, 作用機序にはチロシンキナーゼの関与が示唆された.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.12.87