気管分岐部まで二股状に伸展した縦隔内甲状腺腫の1切除例

症例は61歳男性.血痰を主訴に近医受診し当科紹介となった.胸部CTでは,甲状腺左葉から連続して縦隔内に伸展し気管を右方に圧排しながら気管分岐部まで達する腫瘍が認められた.穿刺吸引細胞診で腺腫様甲状腺腫と診断できたため,手術は左頸部襟状切開に胸骨正中切開を加え甲状腺左葉とともに切除した.腫瘍は15.5×7.5cmであり,気管を食道とともに右側へ圧排し二股状に分かれ,一方は気管背側に回り込んで気管分岐部まで達していた.本症例では術前CTとMRIによる正確な局所評価を行い,左頸部襟状切開に胸骨正中切開を追加し反回神経麻痺などの合併症なく安全に切除しえたので,若干の文献的考察を加え報告する....

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 25; no. 5; pp. 518 - 521
Main Authors 阿部, 勇人, 池田, 晋悟, 星野, 竜広, 横田, 俊也, 羽田, 圓城, 日野, 春秋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2011
Subjects
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.25.518

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Summary:症例は61歳男性.血痰を主訴に近医受診し当科紹介となった.胸部CTでは,甲状腺左葉から連続して縦隔内に伸展し気管を右方に圧排しながら気管分岐部まで達する腫瘍が認められた.穿刺吸引細胞診で腺腫様甲状腺腫と診断できたため,手術は左頸部襟状切開に胸骨正中切開を加え甲状腺左葉とともに切除した.腫瘍は15.5×7.5cmであり,気管を食道とともに右側へ圧排し二股状に分かれ,一方は気管背側に回り込んで気管分岐部まで達していた.本症例では術前CTとMRIによる正確な局所評価を行い,左頸部襟状切開に胸骨正中切開を追加し反回神経麻痺などの合併症なく安全に切除しえたので,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.25.518