マメ科作物の葉の調位運動が受光量に及ぼす影響 : 第3報 ダイズ品種における葉温及び蒸散との関係

ダイズの葉の調位運動の品種間差異について, 受光量, 葉温および蒸散速度の点から検討した. 5品種(ツルコガネ, ナンブシロメ, エンレイ, タチナガハ, ミヤギシロメ)を圃場条件下で栽培し, 登熟期に調位運動を抑えるため防雀網で群落上層を抑える処理を行った. 群落内部の2個体の全小葉の受光量を簡易積算日射計で測定した. 単位土地面積当りの受光量はいずれの品種も処理間に差はなかったが, 単位葉面積当りの受光量は品種間差異があり, ナンブシロメ, ツルコガネの最上層では処理区の方が受光量が大きくなった. 小葉面積が小さく, 葉の厚い品種ほど単位葉面積当たりの受光量が大きい傾向があった. 処理が葉...

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Published in日本作物学会紀事 Vol. 63; no. 4; pp. 657 - 663
Main Authors 礒田, 昭弘, 吉村, 登雄, 石川, 敏雄, 野島, 博, 高崎, 康夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本作物学会 1994
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Summary:ダイズの葉の調位運動の品種間差異について, 受光量, 葉温および蒸散速度の点から検討した. 5品種(ツルコガネ, ナンブシロメ, エンレイ, タチナガハ, ミヤギシロメ)を圃場条件下で栽培し, 登熟期に調位運動を抑えるため防雀網で群落上層を抑える処理を行った. 群落内部の2個体の全小葉の受光量を簡易積算日射計で測定した. 単位土地面積当りの受光量はいずれの品種も処理間に差はなかったが, 単位葉面積当りの受光量は品種間差異があり, ナンブシロメ, ツルコガネの最上層では処理区の方が受光量が大きくなった. 小葉面積が小さく, 葉の厚い品種ほど単位葉面積当たりの受光量が大きい傾向があった. 処理が葉温に及ぼす影響は品種間差異が大きで, ツルコガネ, ナンブシロメ, エンレイでは処理区の葉温が大きくなった. タチナガハ, ミヤギシロメでは処理間差は小さかった. 無処埋区の蒸散速度(単位葉面積当りの茎流速度)はタチナガハがもっとも大きく, エンレイが最小であった. 葉温は葉の調位運動と蒸散によって制御され, これらの要因の係わり方は品種間で異なるものと考えられた. すなわち, ツルコガネ, ナンブシロメ, エンレイは主に調位運動によって, タチナガハは両者によって葉温が制御され, ミヤギシロメでは他品種に比べ葉温は余り制御できないものと考えられた.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.63.657