食道癌に対する治療の動向とハイパーサーミアの役割

食道癌の治療において外科的切除はgold standardといえるが,成績向上には術前後の補助療法が重要である.切除可能なcStage II, III食道癌に対しては,欧米では術前化学放射線療法(CRT)後に根治術を行うことが多いが,本邦ではJCOGを中心とした臨床試験の結果より術前化学療法を行うことが現時点での標準療法とされている.我々は食道癌の予後向上を目指して腔内加温装置を開発し臨床応用した.その結果,術前CRTに温熱を加えたるとより高い組織学的治療効果が得られ,有意に予後が良好であることを報告した.近年,我々は根治的CRT後の遺残や再発に対するサルベージ治療として,化学療法に温熱療法を...

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Published inThermal Medicine Vol. 33; no. 3; pp. 63 - 73
Main Authors 森田, 勝, 池部, 正彦, 香川, 正樹, 中司, 悠, 杉山, 雅彦, 吉田, 大輔, 太田, 光彦, 井口, 友宏, 杉町, 圭史, 國武, 直信, 佐伯, 浩司, 沖, 英次, 大賀, 才路, 藤, 也寸志, 前原, 喜彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハイパーサーミア学会 2017
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Summary:食道癌の治療において外科的切除はgold standardといえるが,成績向上には術前後の補助療法が重要である.切除可能なcStage II, III食道癌に対しては,欧米では術前化学放射線療法(CRT)後に根治術を行うことが多いが,本邦ではJCOGを中心とした臨床試験の結果より術前化学療法を行うことが現時点での標準療法とされている.我々は食道癌の予後向上を目指して腔内加温装置を開発し臨床応用した.その結果,術前CRTに温熱を加えたるとより高い組織学的治療効果が得られ,有意に予後が良好であることを報告した.近年,我々は根治的CRT後の遺残や再発に対するサルベージ治療として,化学療法に温熱療法を加え良好な成績を得た.本治療は,外来治療が可能で,重篤な有害事象も認めず,サルベージ治療として意義のあるものと考えられた.現在,食道癌に新たな化学療法や分子標的薬が応用されつつあり,これらの薬剤と温熱の併用効果を検討することにより,難治性の食道癌に対する治療として温熱療法が再び脚光を浴びる日がくること期待している.
ISSN:1882-2576
1882-3750
DOI:10.3191/thermalmed.33.63