言語音の両耳呈示時における右耳優位性

左右の耳から同時に異なる言語音を呈示すると,一般的にヒトは,右耳優位性を示す.これは,右耳から言語音を,より多く正確に報告することを示す.しかし,これまでに右耳優位と聴覚処理の関係は明確になっていない.そこで左右の耳に同時に言語音を呈示する両耳分離聴刺激時において,聴覚情報処理を検討するために,聴性定常応答(ASSR)による周波数タグ付け手法を使用した.ASSRは,一定頻度で反復するクリック音や一定周波数により振幅変調を受けた音などのように,繰り返される刺激により誘発され,変調周波数に対応した周波数成分の定常的反応が計測される.したがって,このASSRの特性を利用して,左右耳から入力される呈示...

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Published in生体医工学 Vol. Annual56; no. Abstract; p. S68
Main Authors 田中, 慶太, 高橋, 悠太, 栗城, 眞也, 原島, 恒夫, 小渕, 千絵, 岡本, 秀彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
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Summary:左右の耳から同時に異なる言語音を呈示すると,一般的にヒトは,右耳優位性を示す.これは,右耳から言語音を,より多く正確に報告することを示す.しかし,これまでに右耳優位と聴覚処理の関係は明確になっていない.そこで左右の耳に同時に言語音を呈示する両耳分離聴刺激時において,聴覚情報処理を検討するために,聴性定常応答(ASSR)による周波数タグ付け手法を使用した.ASSRは,一定頻度で反復するクリック音や一定周波数により振幅変調を受けた音などのように,繰り返される刺激により誘発され,変調周波数に対応した周波数成分の定常的反応が計測される.したがって,このASSRの特性を利用して,左右耳から入力される呈示音に異なる変調周波数を用いることで,どちらの耳からの入力された呈示音の反応であるかを検討可能である.被験者は,健常成人男性14名であり,48種類の日本の2音節の音から選択された一対の刺激音に対して,左右の耳でそれぞれ35Hzと45Hzにて振幅変調した.その結果,右耳からの言語に対する正解率は,左耳よりも高かった.さらに右耳入力のASSR振幅は,左耳入力のASSRの振幅よりも有意に大きかった(P<0.05).これら結果は,ASSRによる周波数タグ付けによる方法が,両耳分離聴時における聴覚情報処理の検討するための有用な方法であることを示唆する.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S68