救命救急センター長の立場から 腹部救急診療の問題点と外科系救急医の育成

本邦の救急医療は,独特の救急体系で構築されてきたが,医師不足や財政不足,地域偏在性など,社会情勢の変化や医療改革によって崩壊の危機にある。このため,救急診療体制の早急な改革と再構築が求められている。腹部救急診療において,われわれ救命救急センターの役割は,救急科専門医と外科系救急医であるacute care surgeonを育成することである。acute care surgeonの育成カリキュラムは,初期診療から根本治療,集中治療まで完遂することを目標としている。また,現場で適切な緊急度と重症度を判断して,適切な病院へ搬送し集約化することが重要である。このためには,ドクターヘリやドクターカー,救...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 30; no. 4; pp. 539 - 544
Main Authors 白井, 邦博, 小倉, 真治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2010
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.30.539

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Summary:本邦の救急医療は,独特の救急体系で構築されてきたが,医師不足や財政不足,地域偏在性など,社会情勢の変化や医療改革によって崩壊の危機にある。このため,救急診療体制の早急な改革と再構築が求められている。腹部救急診療において,われわれ救命救急センターの役割は,救急科専門医と外科系救急医であるacute care surgeonを育成することである。acute care surgeonの育成カリキュラムは,初期診療から根本治療,集中治療まで完遂することを目標としている。また,現場で適切な緊急度と重症度を判断して,適切な病院へ搬送し集約化することが重要である。このためには,ドクターヘリやドクターカー,救急医療情報支援システムを用いる必要がある。この結果,acute care surgeonが多くの症例を経験することができるため,技術や知識を向上させる手段として有用である。またこのシステムは,最も適切な施設で最高の医療を提供することを可能にするため,患者にとっても有益である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.30.539