成人における甘味食品摂取と口腔内状況との関連

目的 年齢と歯科保健行動の影響を考慮して,成人における甘味食品(甘味飲料,あめ・ガム)の摂取と口腔内状況の関連の有無を検討した。 方法 対象は,職場での歯科健診受診者である。7,713人中5,232人(67.8%)が職域での歯科健診を受診した。このうち,5,034人について解析を行った。職域での歯科健診は,自記式質問紙と歯科医師による口腔内診査からなる。口腔内状況の指標は,CPITN・喪失歯・処置歯・う蝕歯・歯肉出血の自覚症状とした。甘味食品の摂取頻度に関する各口腔内状況のオッズ比を算出するためにロジスティック回帰分析を行った。 結果 男性で,甘味飲料の摂取習慣のある者は,喪失歯,処置歯および...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 49; no. 4; pp. 324 - 331
Main Authors 井手, 玲子, 溝上, 哲也, 山本, 良子, 吉村, 健清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2002
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Summary:目的 年齢と歯科保健行動の影響を考慮して,成人における甘味食品(甘味飲料,あめ・ガム)の摂取と口腔内状況の関連の有無を検討した。 方法 対象は,職場での歯科健診受診者である。7,713人中5,232人(67.8%)が職域での歯科健診を受診した。このうち,5,034人について解析を行った。職域での歯科健診は,自記式質問紙と歯科医師による口腔内診査からなる。口腔内状況の指標は,CPITN・喪失歯・処置歯・う蝕歯・歯肉出血の自覚症状とした。甘味食品の摂取頻度に関する各口腔内状況のオッズ比を算出するためにロジスティック回帰分析を行った。 結果 男性で,甘味飲料の摂取習慣のある者は,喪失歯,処置歯および歯肉出血の高いリスクを示した。「ほとんど飲まない」者と比較して,「毎日飲む」者のオッズ比は,喪失歯で1.4(95%CI:1.2-1.7),処置歯で1.7(95%CI:1.4-2.0),歯肉出血で1.5(95%CI:1.2-1.8)であった。甘味飲料の摂取とこれらの口腔内状況とでは,量—反応関係も認められた。あめ・ガムの摂取に関しては,男女とも,統計学的に有意な有所見のオッズ比を示したものはなかった。 結論 今回の結果より,甘味飲料の摂取と口腔内状況との間に,特に男性で,その他の歯科保健行動とは独立した関連が示された。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.49.4_324