中学生の歯肉炎に関する要因と構造の研究

本研究は,中学生の歯肉炎予防プログラムおよびその評価手段としての質問紙票作成を目指し,PRECEDE-PROCEEDモデルを基本フレームとして歯肉炎に関連する要因を検討することを目的として,神奈川県川崎市の某中学校,2年生118名(男性66名,女性52名)に質問紙調査と口腔診査を行った.歯肉炎の状況の調査にはPMA指数(Schour & Massler)を採用した.質問項目の内容は,PRECEDE-PROCEEDモデルを基本構造とした成人の歯周疾患の総合診断プログラム(FSPD34型)の質問項目を参考とし,中学生に適合すると考えられる質問項目を要因ごとに作成した.各要因の回答別にPMA...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 71; no. 4; pp. 231 - 237
Main Authors 星岡, 賢範, 大持, 充, 吉岡, 慎太郎, 桝本, 雄次, 川又, 俊介, 松岡, 奈保子, 中村, 譲治, 鶴本, 明久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 30.10.2021
日本口腔衛生学会
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Summary:本研究は,中学生の歯肉炎予防プログラムおよびその評価手段としての質問紙票作成を目指し,PRECEDE-PROCEEDモデルを基本フレームとして歯肉炎に関連する要因を検討することを目的として,神奈川県川崎市の某中学校,2年生118名(男性66名,女性52名)に質問紙調査と口腔診査を行った.歯肉炎の状況の調査にはPMA指数(Schour & Massler)を採用した.質問項目の内容は,PRECEDE-PROCEEDモデルを基本構造とした成人の歯周疾患の総合診断プログラム(FSPD34型)の質問項目を参考とし,中学生に適合すると考えられる質問項目を要因ごとに作成した.各要因の回答別にPMA指数を比較した.さらに各要因内の各質問項目の回答結果を数量化し,その合計点を各要因の点数としてPRECEDE-PROCEEDモデルの構造に基づきパス解析を行った. 結果,歯肉炎有病者(PMA index 1 以上の者)率は87.5%,PMA指数の平均点は11.7であった.点数0と最大指数の22が最も多く,2峰性の分布を示していた.回答のカテゴリーごとのPMA指数の中央値を比較した結果,統計的な有意差が認められた質問項目は「ブラッシング回数」と「定期健診受診の有無」のみであった.パス解析を行った結果,モデルの適合度指標であるGoodness of Fix Index(GFI)は0.975と比較的強く,構造方程式としてもよく適合していた.そして強化要因および実現要因が保健行動要因に有意な影響を示しており,行動要因はPMA指数に影響を与えていた.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.71.4_231