縦断的データから見た介護予防健診受診・非受診の要因

目的 縦断的データを用い,介護予防健診受診・非受診の要因を明らかにする。 方法 平成13年と15年,群馬県草津町で70歳以上の高齢者全員(それぞれ1,039人,1,151人)を対象に悉皆訪問面接調査を実施した。これにより収集された基本属性や身体的・心理的・社会的特性を説明変数とし,翌年(平成14年と16年)の介護予防健診の受診の有無を被説明変数とした多重ロジスティック回帰分析を用い,介護予防健診受診・非受診の関連要因を分析した。 結果 第 1 回訪問面接調査では70歳以上の住民1,039人のうち,全項目実施・一部未実施を含めて916人(88.2%)から,また,第 2 回訪問面接調査でも,1,1...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 53; no. 9; pp. 688 - 701
Main Authors 土屋, 由美子, 菅, 万理, 藤原, 佳典, 吉田, 裕人, 新開, 省二, 渡辺, 直紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2006
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.53.9_688

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Summary:目的 縦断的データを用い,介護予防健診受診・非受診の要因を明らかにする。 方法 平成13年と15年,群馬県草津町で70歳以上の高齢者全員(それぞれ1,039人,1,151人)を対象に悉皆訪問面接調査を実施した。これにより収集された基本属性や身体的・心理的・社会的特性を説明変数とし,翌年(平成14年と16年)の介護予防健診の受診の有無を被説明変数とした多重ロジスティック回帰分析を用い,介護予防健診受診・非受診の関連要因を分析した。 結果 第 1 回訪問面接調査では70歳以上の住民1,039人のうち,全項目実施・一部未実施を含めて916人(88.2%)から,また,第 2 回訪問面接調査でも,1,151人中,1,005人(87.3%)から結果を回収し,地域在宅高齢者としての悉皆性の高いサンプルが得られた。一方,第 1 回(平成14年)介護予防健診の受診率は55.2%,第 3 回(平成16年)のそれは40.0%であった。多重ロジスティック分析の結果,第 1 回介護予防健診の受診の関連要因は,全体では,高血圧の有無,IADL,歩行能力,社会的役割であり,近距離の移動が可能な高齢者に限ると,高血圧の有無,IADL,社会的役割であった。第 3 回介護予防健診では,IADL スコアや移動能力スコアが低い場合に,受診する確率が低くなるという傾向は第 1 回と同様であったが,健康度自己評価が非常に高い高齢者が受診を敬遠する傾向があるという,二極化が起きている可能性が示唆された。また第 3 回健診では,社会的役割は受診行動に統計的に有意な影響を持たなかった。 結論 介護予防健診をハイリスク高齢者のスクリーニングに利用する場合,非受診者の中に高リスク者がいる可能性が高く,そのような高齢者を健診名簿などを用いて効果的にフォローアップするなどの対応が必要である。スクリーニングよりも,むしろ,健康教育的な側面に焦点を当てた「介護予防健診」も検討されるべきである。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.53.9_688