要介護高齢者と介護者の栄養摂取状況 国民生活基礎調査と国民栄養調査に基づく検討
目的 平成 7 年の国民生活基礎調査と国民栄養調査の間の個人単位レコードリンケージ・データに基づき,各統計調査に含まれる要介護状況と栄養摂取状況を用いて,在宅の要介護高齢者と介護者の栄養摂取状況について検討した。 方法 上述のリンケージデータに基づいて,要介護状況のいずれかで全面介助または一部介助である65歳以上の者(要介護群:83人),40歳以上の女性介護者(介護群:95人),および,要介護群と介護群以外の65歳以上の者(要介護対照群:1,818人),40歳以上の女性(介護対照群:3,477人)について,エネルギーと各栄養素の充足率,食塩の摂取量を算出した。観察した栄養素は,たんぱく質,脂質...
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Published in | 日本公衆衛生雑誌 Vol. 49; no. 9; pp. 922 - 928 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本公衆衛生学会
2002
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Subjects | |
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ISSN | 0546-1766 2187-8986 |
DOI | 10.11236/jph.49.9_922 |
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Summary: | 目的 平成 7 年の国民生活基礎調査と国民栄養調査の間の個人単位レコードリンケージ・データに基づき,各統計調査に含まれる要介護状況と栄養摂取状況を用いて,在宅の要介護高齢者と介護者の栄養摂取状況について検討した。 方法 上述のリンケージデータに基づいて,要介護状況のいずれかで全面介助または一部介助である65歳以上の者(要介護群:83人),40歳以上の女性介護者(介護群:95人),および,要介護群と介護群以外の65歳以上の者(要介護対照群:1,818人),40歳以上の女性(介護対照群:3,477人)について,エネルギーと各栄養素の充足率,食塩の摂取量を算出した。観察した栄養素は,たんぱく質,脂質,カルシウム,鉄,ビタミン A・B1・B2・C の 8 項目である。 結果 要介護群では充足率の平均値はエネルギー108%,カルシウム85%,他の 7 栄養素は101~224%,食塩摂取量の平均値は11.0 g/日であった。要介護対照群と比較してすべてにおいて低く,その差は多くの栄養素で有意であった。一方,介護群では,充足率の平均値は104~294%,食塩12.8 g/日であり,介護対照群との間に大きな差はみられなかった。要介護群・介護群共に,充足率を性別・年齢別に見ても大きな差はみられなかったが,要介護状況がより重い者で充足率に低い傾向がみられた。 結論 要介護高齢者と介護者の栄養摂取状況の実態を示した。要介護高齢者では,カルシウム摂取不足などの可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 0546-1766 2187-8986 |
DOI: | 10.11236/jph.49.9_922 |